6月は5冊。相変わらずAI系の本多め。
基準:
- 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
- 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義
昨月の記事:
目次:
- データサイエンスの無駄遣い 日常の些細な出来事を真面目に分析する
- リアル店舗の逆襲~対アマゾンのAI戦略~
- データ分析・AIを実務に活かす データドリブン思考
- 西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)
- プロマネ現場読本 デスマーチを乗り切るために持っておくべき知識のすべて
データサイエンスの無駄遣い 日常の些細な出来事を真面目に分析する
タイトルに「無駄遣い」とあるとおり、日常の様々なことを分析したりシミュレーションしたりする本でくだらないけど面白い。『データサイエンス』とタイトルにはあるが、3Dデザインによるシミュレーションやプロジェクションマッピング環境構築など扱う話題は幅広い。本当の意味でデータサイエンスっぽいのは「既読スルーされる確率を予測する」「自分のメッセージを模したチャットボットを作る」「飲み会で盛り上がるかセルオートマトンでシミュレーション」「お遍路参りの時の自分の状態をウェアラブルセンサで測定する」とかくらいかも(結構あるか)。
どんな実装したかも書いてあるので、興味ある人は読んでみる価値はあると思う。kindle unlimitedだと無料っぽい。
リアル店舗の逆襲~対アマゾンのAI戦略~
リテールAI研究会というところが出しており、小売業に対してどうAIを活用し付加価値を高めていくかというところを小売り店舗/メーカー/卸売業の章に分かれて語っている。トライアル(九州のスーパー)関連のトピックが全体の半分くらいを占めておりトライアルのAIカメラ・スマートレジ導入店舗で行われた取り組み、実証実験の狙い・条件・検証結果、今後の展望などは読む価値が高いと思う。
別でトライアルの会長が書いた小売業AI導入に関する本がこの書籍のもう少し後に出ているようなので、そちらも機会があれば読んでみたいところ。
リテールAI研究会のホームページは下記。独自でリテールAI検定なる資格試験も実施しているようだが果たしてこちらは取る価値があるのかは不明。
データ分析・AIを実務に活かす データドリブン思考
データ分析は「意思決定プロセスを改善する」ために実施されるべきという主張をもとに、ビジネスにデータ分析を活かすにはどうすればいいか書かれた一冊。
例として挙げられている事例の解像度が高く、データ分析で「わかったこと」がなぜ役に立たないことになってしまうのかが実感しやすい。解消したい問題→解消したい課題→意思決定プロセスの課題→データ分析で解く対象と絞り込むフレームワークの納得感も大きい。データ分析をするのみでなく、役立てるにはどうすればいいかを考える上で非常に役に立つ内容でありながらとても読みやすい。これからも折に触れて読み返すのではないかと思う。
余談だが著者は企業勤め時代ハードワーカーすぎて10年間の間に3回倒れて2回博士号(工学/経営学)を取得したらしい。積んでるエンジンが常人と違いすぎる。
西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)
3年前くらいにkindleのセールで安値で購入したのを放置してて、新幹線での移動中にさっと読んだ。
昔の西洋では識字率がそもそも低く、絵には「メッセージ」が込められていた。そのメッセージを読むにはどうすれば良いか、そして代表的な絵画の事例をもとにその国や時代に生じた絵画のメッセージ・歴史背景をざっくり解説している本。こういう美術作品から歴史背景を元にメッセージを読み解く学問を図像学(イコノグラフィー)というらしい。例えば流行り病による死者が続出したときに聖書のエピソードで対応する人物の絵画が流行る、一般人でも見てわかるように聖ペテロ=鍵を持つなどの属性が付与されている、など描かれているモチーフの属性や流行り廃りにも『意味』があることが面白く感じた。こういう時代背景を考えながら美術館を回る教養あるジジイに将来なろうと思う。
プロマネ現場読本 デスマーチを乗り切るために持っておくべき知識のすべて
プロジェクト管理とか進め方とか、ざっくり知っときたくて読んだ。
映画館座席予約システムの開発をテーマとして、プロジェクトがどのように始まりどのように契約を結び、どのように合意をして進め、どのように締結するのかキックオフから受入まで書かれている。小規模なウォーターフォールモデルでの開発の進め方について事例を通してサクサク学べる。結構分厚いけど割とすぐ読み終わった。