孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

2023年10月に読み終わった本リスト

ハロウィンの日、家から1歩も出ずに本を読んでいた側の人間がまとめる感想ブログ。

 

基準:

  • 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
  • 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義

 

昨月の記事:

2arctan-1.hatenablog.com

 

目次:

 

 

デジカメの画像処理

仕事の関係とか、あとはカメラ自体に少し興味があったのもあって読んでみようかなと。
当初の期待通り、デジカメの簡単な仕組み・機構的な説明と、内部で行われている画像処理や顔認識・物体追跡などの手法概要がまとまっている。合わせて人間の視覚や感覚に合わせた補正理論についても書かれている。近年売れているミラーレス一眼の話はなかったが、理論的な話が中心なのでデジカメの中でやっていることが色々学べてよかった。

 

 

 

数学イノベーション

文科省が主体となって出版された数学関連の研究動向や社会応用が書かれた本。
軽く流し読み程度だが、日本の数学関係の研究取り組みの立ち位置が1章、以降は社会の中で応用されている数学の分野などに関する概説が各専門家から書かれている。分野としてはグラフ理論、暗号、確率解析、生物シミュレーション、製造現場での流体解析、ロボティクス、CADなど様々。

 

 

 

ガウス過程と機械学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)

kindleの500円セールで買って放置していたものをちまちま読んで読了。

「第0章だけでも読んでいってください!」という帯に惹かれて読んでみた。この本は0章で雰囲気を掴んだ後は、3章がキーとなると思う。(1,2章は線形回帰とガウス分布の話なので理系出身なら何とかなるはず……)

理解しきれた訳でもないがざっくり言うと、ガウス過程は線形回帰モデルの重みを積分消去した無限次元のガウス分布らしい(うまいこと重みw平均0のモデルを仮定してごちゃごちゃ式変形する)。さらに、変形した特徴ベクトル自体を知っている必要はなくその内積(カーネル行列)さえわかっていれば簡単にガウス過程を経た予測値が求められる。カーネル関数にはガウス関数を元にしたRBFカーネルがよく用いられ、線形関数を仮定するとガウス過程は重回帰分析に帰着するらしい。ほ〜って感じ。

このブログの著者は数学弱者の素人なので、『あなたの理解は間違ってますよ!』というところがあったらコメント貰えるととても助かります……!

 

 

 

AIが変える2025年の銀行業務

NTTデータ経営研究所の金融政策ユニットのコンサルタント達が執筆。メガバンクなどの効率化に向けたAI導入の取り組み、2025年がどうなるかの予測が書かれている(刊行は2018年)。
なーんかずっと「AIによって銀行の業務は省人化され〜」みたいな同じようなことが書いてあって、起伏のない本だと思った。

 

 

 

ソニー デジカメ戦記 もがいてつかんだ「弱者の戦略」

電機メーカーとしてカメラ業界の中では亜流だったソニーがミラーレス一眼で業界のトップシェアを取るまでの話。カメラ部門の総責任者であり、副社長も務めた石塚氏とインタビュアーの対談形式になっている。石塚氏はカメラ部門を出たり入ったりしていて、人事異動の感じがサラリーマンだな~と感じた(ソニー半導体の奇跡を読んだ時にも思ったが)
ソニーのデジカメ部門は色々な部隊が乱立しており、様々な変わったカメラとそのエピソードが出ていてそれを見ているだけでも面白い。スマホの台頭を踏まえ、市場で市場で傍流の軽量化デジカメ路線から本格的な一眼レンズ路線に集約する事業判断は相当勇気のいる決断だったのではと思う。ざっくばらんな語り口ではあるが、電機メーカーのカメラから、競合を押しのけてミラーレス一眼でトップを取るまでは技術確立・市場確立両方で相当な苦労があったのだな……としみじみ感じられた。

 

 

 

せっかく中退したのだから…―中退生、不登校生へ 「自分らしさ」を大切にする第一高等学院

街中で見かけた古本屋さんで5冊300円とかいう破格で売られていたので、適当に見繕って購入した本。

高校中退者たちの救済措置である大卒検定に関するお話と、大検専門予備校である第一高等学院に関する話。第一高等学院は学育社の堀川一晃が主宰しており平成13年の時点で全国31校。第一高等学院は1985年に初めて設立された大検予備校らしい。体験談とかもぶわーって載っており不登校生や1度フリーターや就職して大検に挑戦した人たちのリアルな様が見れる。
著者の『第一高等学院の強みは○○にあるのではないかと筆者は睨んでいる』というミルクボーイ内海みたいな口調のヨイショが随所にちりばめられている、ヨイショ本。まるで普通高校に通ってるやつらは何となく大学行くだけのマヌケで大検とって進学した人は頑張る苦労人みたいな感じに書いてるのはちょっと悪意あるかなーと思う。

 

 

 

女子社員読本

5冊300円で買った古本の一角。刊行は1978年と昭和ど真ん中であり、『女性社員は数年で結婚して会社を辞めるもの』という前提の元でマナーが語られており、今現在の認識とは異なる部分が多い。
「お客様からの電話はかけた方が切るのが普通だが、それを認識せず失礼に思う人もいるので受けてもかけても後から切るようにしなさい」という何か行動経済学っぽいマナーや「上司は役職名で呼びなさい」など昨今の風潮と真逆の常識などが感じられて面白い。
筆者自身は「マナーは時代によって変わる」というスタンスであり、お茶汲みは女性社員がするものと書きつつも「個人としては飲む人がお茶を入れればよい」としている。そのため、この本で書かれている内容を時代錯誤の老人が偉そうに書いた本と切り捨てるのは早計であり、社会通念としてこのようなマナーが昔あったと認識することが必要だと思う。自分が生まれる前のビジネスマンの常識を認識できて、読んでよかったと個人的には思う。

女子社員読本

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