孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

第44回ABCお笑いグランプリ(2023)決勝感想

以下感想

全体の感想

決勝進出者は前年度から連続で出る組が多かった気がします。有名どころとダークホースが入り混じっていて中々わくわくするメンツでした。
その他にも新顔として本田望結ちゃんがアシスタントに入ったり、審査員に「う大先生」が加わったりとフレッシュな感じです。
大会の結果としてはダブルヒガシの腕力が光った形で、特に2本目は深いこと何も考えないで笑えるすごく良いネタだったと思いますし令和ロマンも高度に張り巡らされたネタで本当に同点くらいだったと思います。ファーストステージの結果を踏まえてダブルヒガシに軍配が上がりましたが、決選投票だとまた変わったかもしれませんね。
とはいえ、納得の優勝だったと思います。ダブルヒガシ、おめでとうございます!

各感想

スペシャル漫才

カベポスター

星座がややこしい。今のトレンドを面白く皮肉的に盛り込んだめちゃくちゃいいネタだった。センシティブではない話題を使ってセンシティブな話題が持つ構造の面白さを表現しているのが良い。
スペシャルアクトでもここまでしっかり仕上げたネタ持ってきてるのすごい。

さや香

腹立つこと。石井の顔のうるささとロケーションを上空数千メートルに持ち上げただけで態度の悪い店員にキレるシチュエーションが凄くおかしくなるなと思った。
終わった後の新山が本田真凛の熱愛をいじってたの面白かった。

見取り図

お座敷遊び。見取り図の劇場とかでよくやる鉄板ネタだけど、それだけに遊び要素が凄く多くてめちゃくちゃ遊んでて面白かった。生放送で賞レースの緊張感とは真逆のこれだけ遊んだネタ見れて良かった!ちんぼる、珍棒かと思った。

Aブロック

天才ピアニスト

真犯人。誘い笑いする、いらんどうでもいい話を乗ってくるといったおばさんあるあるとハンカチ持っていないっていうおばさんないないの塩梅がちょうど良くて面白かった。
一方でナイフを急にますみが刺すところが突然すぎる感があったり、登場人物の関係性とかそもそもの年齢設定がわかりにくい(山内が指摘してたポイント)というところは気になった。

素敵じゃないか

彼女の様子がおかしい。去年のM-1準々決勝でやっててシステムがとても面白いネタですごくよかった。ジェスチャーのチョイス、答え合わせ、後処理の細かさと丁寧さがすごく面白い。 今年の後半にかけてこのシステムが展開した漫才が見れるんじゃないかとすごく楽しみ。

こたけ正義感

名曲に含まれた違法な表現。去年と比べるとモニターに移し替え、YouTubeなどでもやっているリーガルチェックのネタ。
スキマスイッチ全力少年が止まることなく流れる中でいちいちこたけ正義感が歌詞をなぞりながら法律的観点的に違法な点を突っ込むので単純にごちゃごちゃしていて聞き取りにくいのが気になった。別に歌詞の復唱はいらんと思う。
後一つ一つの歌詞を掘り下げる時間がなく歌詞に対する法律的なツッコミがどうしても浅くなっちゃうのも去年のフリップネタと比べて感じて、せっかく弁護士やってはるのに勿体ないなと感じた。

サスペンダーズ

ご祝儀袋。最初の結婚のマナー話すくだりが長すぎて、結婚式の前という設定を踏まえるとその間にパーカーの男性に漂う違和感からお客さんに「ちょっと待った」やる人だって見透かされちゃっているからネタバラシがバラシになってなかったと思う。
古川のリアクションと「ちょっと待ったやるの見て~~~!」って言うところは面白かったけど、パーカーの人の人物設定としては、例えば『あんまり喋ったことはないけど一応会社の同僚』とかせめてひとみさんと少しは関係性がある「ちょっと待った」を言えそうなラインに置いておいてほしかった(ガチのストーカーだったら「ちょっと待った」やらんと直接ひとみさんに何か仕掛けるでしょ)。

Bブロック

ダウ90000

ゼミの彼女。前回コントじゃないとか言われてちょっと荒れてたけど、今回はかなり見やすくなったし、喩えを大人数で振ってる感じが面白かった。大人数で短い時間で面白いネタを見せる工夫が詰まってて単純にすげー!となった。
最後まで展開が垂れることなく見切れたし、去年からの賞レースに対する調整が違うなと感じた。Bブロックはダウ90000か令和ロマンかだったと思う。

令和ロマン

男らしいラブソング。バックナンバーの曲の歌詞を「男らしい」フィルターで見るとすごく面白くなるっていう仕組みはシンプルだけど歌の後のボケ方が多彩だったり、「人数少なくない?」とか「星座―レス」とか前の芸人がやったネタをうまく使ったりとすごいベテランしぐさなところがあって腕を感じた。

ハイツ友の会

声優学校。どの切り口で笑いを取るのかと思ったら、バイトのいい先輩が「声優学校に通っている」という一本で声優学校とか声優の偏見で笑わせるのが意地悪なストロングスタイルで結構面白い。 う大の言う通り、最初の敬語のやり取りとか冗長なところは感じたり、コントだけどほぼ直立で二人の会話のラリーだけでやっているところとかなんかもっと何とかなりそうなところはあるけど、それ差し引いても単純に面白かった。

友田オレ

どうにかできたはず。今回の出場者で唯一ネタを一本も見たことない芸人ということで前情報なしで楽しみに見た。
歌ネタ×フリップでかなりよくあるスキームだったけど、歌上手くて取り上げる事例が面白くてよかった。他の3組と比べるとインパクトは薄かったかもしれないがまだ現役大学生かつ8ヶ月とからしいので、これからどんどん面白いネタを創っていくと思うし楽しみ。

Cブロック

ストレッチーズ

ファミレスの店員。去年のM-1グランプリ準決勝でやってたネタ。プロセスの移動で明確に笑いどころを作っているけど、それ故にかっちりそこに合わせに行き過ぎてる感じがしてシステムシステムしててそこが気になった。あとちょっと入れ込んでてツッコミが力みすぎてた気がする。
審査員のコメントに結構ネタの構成に対するアドバイスがあったことからも察するように、面白くないとかじゃなくてこのままでも十分面白いけどもっと面白くなりそうな伸びしろが沢山あるネタだという気がした。

ヨネダ2000

他人に大声を出して謝る教室。このネタ去年以前からあるやつだけど、最初はボケツッコミがしっかり分かれていて後半からはふざけたリズムネタっぽくなる形で、ヨネダ2000の面白さがわかりやすく伝わるいいネタでチョイスがすごくよかったと思う。去年M-1決勝出たこともあってヨネダ2000のパーソナリティが伝わりやすくなっているのも追い風になったとは思う。

ダブルヒガシ

居酒屋のキャッチ。丁寧な前フリからの居酒屋のキャッチどっか行け!がバッチリはまって後のあるあるのパワフルな実演や教習ビデオとかのくだりで最後まで引っ張りきった感じ。ダブルヒガシの勢いがそのまま出た感じ。これだけウケたらもう行くでしょって素人でも察するくらいウケてたと思う。

オフローズ

幽霊。トリオの中で片方が見えてて片方が見えていない……みたいな設定を幾つも重ねる感じ。この手法だと片方が話している時にもう片方が浮いてて中継待ちの時間が出るのと、要所要所にある説明の部分が長いな~(特に未来人のバラシのところ)とちょっと思った。あとツッコミの人が幽霊側とはすぐ打ち解けたのに元々一緒にいたはずの人間の方とのコミュニケーションが少ないのがなんかすごい気になった。

ファイナルステージ

令和ロマン

恋愛リアリティーショー。去年のM-1準決勝で披露したネタ。若者向けのボケが多いネタだけど、動きがダイナミックで盛り上がる箇所も多くて、3対3で登場人物も多いのにちゃんと機能しているのが良い。「俺がおじさんなばっかりに……」のタイミングがすごく良くて面白かった。かなり緻密に組み立てられているな、とわかるネタだと思う。

ダブルヒガシ

全く知らないラジオ。ただただ「面白い!」という感じのパワフルなネタだった。「きも!」「おもろ!」とかのツッコミからも感じられるように原始的な感情に訴えかけるような地元ノリ、内輪ノリにお客さんを巻き込むような面白さだった。本当に令和ロマンとどっちが勝ってもおかしくなかったと思うけど、ダブルヒガシのパワーは凄かった。

素敵じゃないか

エレベーターの緊急ボタン。これもM-1の予選で見た気がする。
「~~し続ける」の動詞としての解釈が連続的か、断続的かという部分で掛け合いを起こしていく感じで、こちらのネタも面白い。けどまあファイナルの前半二組と比べると、というところはあったんじゃないかと思う。