読書感想自体は手元で書いていたのですが溜めすぎちゃったので、ざっくりと2025年の上半期でまとめました!(去年の2-6月くらいはコンサル辞めた過ぎて、読んでたけどあんまり頭に入っていなくてちょこちょこ読み直した本多し)
気になるタイトルの本はみんなも読んでみてね!
基準:
- 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
- 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義
前の記事(2024年12月):
2arctan-1.hatenablog.com
目次:
1月
生成AIのしくみ 〈流れ〉が画像・音声・動画をつくる (岩波科学ライブラリー)
岡野原先生の名著『大規模言語モデルは新たな知能か』に続く一冊。
前書と比べると気軽に読める文庫本のレベルを明らかに超えており、最大限直観的に解説しようという努力は窺えるが、なお難しい。
自由エネルギー最小化という物理現象に対応して、データの分布を捉える生成手法として拡散モデルと本丸であるフローマッチングが説明されている。拡散モデルだとデータの分布をガウスノイズの付与により扱いやすい正規分布に変換し、それのステップ的な除去によりデータ生成の仕組みを学習する、だったりフローマッチングのモデルでは最適輸送などの仕組みを用いて分布変換の流れを掴む……みたいな仕組みらしい。(拡散モデルより先の仕組みの理解は簡易化されていたとしても難しいね)
システムの問題地図 ~「で,どこから変える?」使えないITに振り回される悲しき景色
業務部門、情報システム部門、ベンダーの営業、開発、運用部門はそれぞれ好き勝手なことを言っている。使えないシステムを取り巻く残念なあるあるをまとめた。
前半は面白かったけど章分けしてるとはいえ言ってることがほとんど同じなので途中で飽きてきた。基本ユーザーの声を聞いていないまま開発しちゃっている、誰も望んでないシステムになっている、運用とか考えない、終わらせずずっと残しちゃっているみたいな課題の話が繰り返し繰り返し各章で展開される。
BCGが読む経営の論点2025
毎年ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が毎年出しているやつ。ブックオフに昔の奴はよく安値で売っているんだけど、せっかくコンサル業界は言ったんだからと最新年度のものを購入してみた。
経営の観点で様々な課題やトレンドがある中で、2025年特に重要なテーマとして10個を厳選している。具体的には、生成AI、自動車、半導体、次世代エネルギー、生物多様性、物流、プライシング、R&D、スタートアップ、アクティビストに関する10章で構成されている。個人的には状況に合わせて値段を変えるプライシング戦略の話や品質が高く今まで成り立っていた物流業界をどうするか?など普段あまり触れない話が面白かった。
新版 問題解決プロフェッショナル
せっかくコンサル入ったのでこういうのも読もうと買ってみた。
よく聞くゼロベース思考、仮説思考、MECE、ロジックツリーにそれぞれしっかりとした解説が書かれている。実際の筆者のマッキンゼーでのプロジェクト事例も混じえて書かれており、かなりこの業界の初心者(まさしく私)向けの本ではないかと思う。こういうの折に触れて読み直していかなあかんのだろうな……と思いつつ読み返せていない。
日本M&Aセンター創業者分林保弘の「仕組み経営」で勝つ!
M&A領域で存在感を放ち、91年設立で07年にスピード東証一部上場を果たした日本M&Aセンターの分林保弘の1冊。
分林は能楽師範代の元に生まれ、朱雀高校→立命館大学に進学。能楽部に入部すると4年生の時は全米を横断しながら能楽の講演をやりきるという離れ業を見せる。分林氏は他人のお見合い写真を見てその女性に一目ぼれ、先に長岡京に住宅を抑える、バラの花束100本を送るなどの猛アタックで結婚したという行動力のある熱い男である。
留学も視野に入れつつも、コンピュータがこれから来ると確信し世界で7万人の社員をもつイタリアのグローバル企業の日本支社である日本オリベッティへ入社。オリベッティでは優秀な営業でハードワークをこなし、セミナーを開いて生産管理にコンピュータを使う方法を教えるなどして顧客を囲い込んでいく。
オリベッティの営業として会計事務所との交流が多かったことから、会計士間で課題となっているプラザ合意や相続税などの課題感を解消すべく退社し(この時オリベッティの優秀な社員を何人か引き抜いてる)日本事業承継コンサルタント協会を設立、50の地域の会計士事務所と協業して91年に日本M&Aセンターを設立する。実はM&Aは素人だったので、新宿の紀伊国屋のM&A専門書を15冊買って一気に読破し講演に臨むなどガッツを発揮している。分林の築いたコミュニティにより、中小企業の事業承継で日本M&Aセンターは実績を上げ、スピード上場につながるんだなと。こういう企業の創業ストーリーみたいなんが厚めの本は面白いですね。
広報・PRの実務 組織づくり、計画立案から戦略実行まで
業務調査のためにサッと買って読んだ一冊。
戦略広報をキーワードとして広報の計画や戦略実行までを説明している。近畿大学、ダイニチ工業、丸治、東洋の広報戦略・事例を紹介しているページがあり、そこが一番参考になる。
2月
コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト 知らないと一生後悔する99のスキルと5の挑戦
最初に入ったプロジェクトであまりにもワークしてなさすぎて先輩から勧められて買った本。書いてあることは分かるんだけど……って感じ。
本書では論点→サブ論点→TASK→スケジュール→作業→アウトプットのロサTス作アの6ステップの動き方が何度も繰り返し強調されているのでそこは頭に入りつつ、実際にその動き方でやれてないなーという時が結構ある(無論自分のパフォーマンスが良くない)。この本で書かれてる悪い例はだいたい最初の3ヶ月でやらかしていたということもあり、個人的に読むと胸が痛くなる本でもある。
イシューからはじめよ[改訂版]――知的生産の「シンプルな本質」
意味あるアウトプットを一定期間内に生み出す必要のある人が本当に考えなければならないことはなにか、が本書の内容。
悩むことと考えることは違う。10分以上考えて拉致があかなかったら休めと筆者は言っている。
書かれていることは闇雲に問題を解きまくっても意味がない、解くべきイシューを専門家の知見を借りてでも見極めろ、必ずイシューは言語化して仮説に具体的に落とし込まないと時間が足りない、イシューを見極め後は仮説ドリブンでストーリーラインと絵コンテを作る、図表のイメージを元に大きいところから検証可能か答えを出し手を付けて、最終的にメッセージに落とし込む……というもの。
言うは易いが気を抜いたらやらないし、こういうアプローチは仕事で詰んでいるとき、えてして崩れてがち。
メーター検針員テゲテゲ日記
電力の下請け検針サービス会社錦江サービス興業(仮名かもで業務委託の形で検針。スマートメーター導入でなくなる検針の仕事を50歳から10年続けた筆者のエピソード。1件40円程度。
集合住宅やマンションの多い地区だと2万以上稼げるらしい。鹿児島市の平之町、東千石町、天文館と実名出してる。僻地は5円検針料が割増になるが、それで賄えないくらいわりが悪いらしい。犬の危険、理不尽な住民の危険、独居老人や子供との触れ合い、検針員の話。
筆者は退職後10年にわたり介護を転々として(というか60歳から介護職スタート……)2020年現在で10年経つという。平成前期の話ということもあり、業務委託で責任を切り離して検針員に面倒事を押し付けたり訪問先でのトラブルの弁償を押し付けたりとなかなか酷い話が多い。なんとも言えぬ高齢独身男性の哀愁漂う文章だった。
高杉課長のコンサル手帖―地方銀行の新潮流
地方銀行×コンサルティング×小説とかいうハンターハンターのアニメタイトルみたいなニッチな掛け合わせに惹かれて購入したけど、なかなか面白かった。こういうニッチ本たまに読みたくなるんよなぁ。山口ファイナンシャルグループの山口銀行とコンサル子会社のワイエムコンサルティングが題材。
4話構成でM&A、株式譲渡、バンクミーティング&経営再建、人事制度策定と地場の中小企業と絡めたエピソードで1話辺りはサクッと読めて展開はライトだが銀行のやるコンサルティングの雰囲気は掴める。
ひとり情シス
デルの2017年の調査で100-1000名規模の企業に1人情シスは1万人ほどいることがわかったらしい。全体のうち14パーセントは1人情シスで、1人も情シス担当が居ない会社と合わせると全体の3割。
色々書いてあったけど、基本さっくりした文章の羅列って感じであんまり惹かれるところはなかった。
これからのAI、正しい付き合い方と使い方 「共同知能」と共生するためのヒント
AIの使いこなし、という意味で今なお生きるような考え方が掴める1冊。
原則1、常にAIを参加させる。
原則2、人間参加型にする。
原則3、AIを人間のように扱う(ただしどんな人間かを伝えておく)。
原則4、今あるAIを最も劣悪なものとして扱う。
上記の4つの原則とその解説だけでも読んでおくといいと思う。
AIによる生産性向上とトレードオフになるような専門性欠如、パフォーマンス悪化の話、AIの生成物にはハルシネーション(幻想)が含まれるという話、AIの話を聞くかどうかは自分次第という話、などなど聞いていてタメになる話が多い。
翻訳書なので少し形式ばった雰囲気の本ではあるが、意外と読みやすいので生成AIをあんまり使ってないよという人は読んでみる価値があると思う。
3月
『週刊少年ジャンプ』40周年記念出版 マンガ脳の鍛えかた (愛蔵版コミックス)
ガチで知らない人が一人もいないと過言では無い超黄金期少年ジャンプの往年の名漫画家37名によるインタビューをドカドカ載せた豪快な1冊。写真で大御所から当時新進気鋭の様々な漫画家の仕事道具や部屋が出てきている。
当然人によって言うことは全然違うんだけど、厳しい週刊連載の中でヒット作を出してきた人たちだから、それぞれ独自のフィロソフィーに辿り着いていてカッコいいと思った。
電気電子計測[第2版] (新・電気システム工学 TKE-5)
13章に渡って、統計的な誤差の解説から始まり、指示計測器、計測回路、デバイス機能回路、ディジタル計測、位相や共振など必要な知識に一通り書かれた1冊。内容のアウトラインを沿って読んだだけだけだけど、計測の雰囲気は掴める。
この筆者の廣瀬先生はカオスニューラルネットワークの権威で卒論とかで文献引用してたのもあり、ブックオフで買って読んでみたのが背景。そこまでムズい本でもないし、技術職の人ならとりあえず読んでみてもいいのでは。
大規模言語モデル入門Ⅱ〜生成型LLMの実装と評価
前作を2024年に読んでいて、待望の続編。前作は基礎的な理論の話が中心だったが、本書は評価周りの話が中心になっている。
前半はBLEUなどによる評価方法や指示チューニング、選好チューニングなどの望ましい回答を作るための方法、後半はRAGの解説や実際のGPUを用いた分散並列学習の話が入っている。分散並列学習の話とか面白いと思うんだけど手元に計算リソースが無さすぎて雰囲気を味わうことしかできない……。
Copilot Studioで作る業務効率化のAIチャットボット できるエキスパートシリーズ
仕事でCopilot Studioを触る必要性があり、とりあえず買って読んでみた1冊。Copilot Studioは基ローコードでチャットボットを作るツールと思えば良くて、この本を読めばとりあえずSharePointとかを参照してなんか動くものは簡単に作れる。
とはいえ実態としては、Microsoftのぐちゃぐちゃしたリファレンスを読み解き『ライセンスごとにできる/できない仕様』を読み解く必要がある上、作れたボットの性能が低かったりする/すぐ仕様が変わるので業務への実導入にはかなり地道な検証が必要です。それでモデルがアップデートされたら一気に過去にできなかった問題が解消されたりするので、AI関連の自動化は諸々注意が必要すね。
外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック
最初に入ったプロジェクトでスライドが作れなすぎたので買った1冊。
グラフとチャートの見せ方についてのテクニックは分かりやすく、引き算でシンプルにスライドを見せる話や時系列などの軸に沿って要素を並べるなどのテクニックがまとまってて分かりやすかった。まあただ、実際のプロジェクトやと前段の何をスライドにする必要があるか?というストーリー作りが難しいんすけどね……。
4月
グラフのウソを見破る技術――マイアミ大学ビジュアル・ジャーナリズム講座
いわゆるインチキグラフが大量にまとまった1冊で、よくある意味なく3Dにしたグラフや母集団、データの軸を短くしてミスリーディングにするなどの初歩的なインチキから、グラフの定義をミスリーディングにするずるい見せ方など満載。グラフを使って考えられうるインチキはだいたいこの本1冊で抑えられるのではないだろうか。
外資系金融のExcel作成術―表の見せ方&財務モデルの組み方
Excel側のお作法を学ぶために買った1冊。
実際この本に書いているようなレベルのお作法を求められることは今のところなく、財務モデルも簡単なシミュレーションツールを作ったことがあるくらいでこんな厳密なものは作ったことないのだが、丁寧なExcelというものを掴むのに役立った。財務周りがメインの人とかはこういう細かい数字計算をキッチリやってるんだなと思うと尊敬しますね。
最高の結果を出すKPIマネジメント
KPIというものをどう作れば良いか、実際の事例や筆者のリクルートでの経験談をベースに書かれた1冊。
最重要プロセスであるCSFと最終的な目標値であるKGI、そして事業成功をのカギを数値目標で表したKPIの設計について書かれている。KPIは沢山作らず一つだけ、現場がコントロール可能な、シンプルな数値であること。
リクルートの福岡支店が東京支店などのアイデアを徹底的にパクって改善しまくっていたらいつの間にかパクられる側になっていた、など事例が色々書いてあり数値の共通理解・設計の大事さがスッと読める感じ。
叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」 (知的生きかた文庫 ひ 27-1)
床屋で置いていて、待合少し長かったので30分くらいでサッと読んだ本。
マジで内容は覚えてないんだけど、基本ひろゆきの切り抜き動画みたいなことしか言っていないのでザッと流して終わるくらいでした。
新版コンサル業界大研究 (業界大研究シリーズ)
もう既にコンサル業界に飛び込んだ後なんですが、読んどいたほうがいいかなとブックオフで売っていたのを購入。
THE就活本って感じがあり、主要なファームの特徴や採用プロセスなどもびっしり載っている。見どころはEYとかマッキンゼーとかのパートナーのインタビューとかかな。広く浅く雰囲気を掴む本で、この本でコンサルいけ好かないと思ったら多分コンサル業界に入らん方がいいと思う。(僕はいけ好かないと思いました)
若い君たちに伝えたい―明日の日本を拓くために (1975年) (Big backs)
1975年に書かれた相当古い本。当時のシラケ世代の若者に対する覇気がない、自分本位、シラケているなどの大人が言う説教は実のところ今とほぼ変わっていない。
厳しい教育も必要、国際化の時代にまず日本のことを知ること、精神面と物質面の充実が必要。自分、国家、世界の三位一体となった価値観が必要。日本は経済成長が膨らみすぎて精神的な成長が追いついておらずバランスが重要など、特に若者に限った話では無いことを色々書いている。若者が読む価値はあると思う。
日本の開発力を甦らせる知財DX
著者は元々松下電器産業株式会社で知財業務に携わり、50歳で起業した人。
特許出願数が日本で下がっている、近年の特許には質が求められるようになったが、厳密に定義できない以上そもそも特許は質より量である、特許調査は研究者・技術者にとって煩雑な作業だし個々人でオリジナルのフォーマットのExcelで管理していてナレッジが分散して忘れ去られ無駄が多い、などの課題感の指摘はもっともで、著者の会社では特許効率化のためのシステム(知財グループウェア)を開発している。
一つ章を割いて、具体的な化学メーカーや電機メーカーへの導入事例がいくつか語られているが、単純に導入した、効果が上がった、終わり!ではなくR&D部門では一定チューニングすることで導入できた、だが設計部門には〇〇という課題があり~と現場の実態に即した結構生々しいラインの話をしていた面白い。
DXってタイトルにつく本は全体的に中身がフワフワしていることが多いけど、地に足の着いた本だと思った。
「好き嫌い」と経営
今をときめくニデックの永守重信やファーストリテイリングの柳井正を始めとして、経営学の教授である著者が「好き」「嫌い」についてそれぞれ聞き出す。
筆者の所感なども書かれていて目線が面白いのと、やはり各社長、性質は全然違えどエネルギッシュで言っている好き嫌いはめちゃくちゃ極端なこと言っていたりする。このギラつきがきっと経営には重要なのだろうと思った。
5月
データ分析に必須の知識・考え方 統計学入門 仮説検定から統計モデリングまで重要トピックを完全網羅
Kindleでセールやっていたので購入。
サッと読んだだけなんですが、カラービジュアルで統計学の概要がざっくり網羅されていていい感じの本でした。統計学のこういう本を読むとなるほどなるほど、とその時はわかるんだけど使いこなす、となるともう一段カベがあるんだよな……。
はじめての上流工程をやり抜くための本~システム化企画から要件定義、基本設計まで (エンジニア道場)
システム開発における上流工程(企画~要件定義~基本設計)のやり方、考え方がまとまった本。最初にさらっと上流工程やシステムの定義、業務の仕組みの理解の重要さなどを解いた後、ストーリー形式を踏まえて上流工程のポイントを若手社員とクライアントのやりとりをベースに書いてくれる。
わかりやすく、もう何回か読んどきたいなと思ってまだ一回しか読めてない本です。
二つの人生
出光興産の創業者出光佐三の弟であり、二代目社長の出光計助の自伝のようなもの。
第二次世界大戦を生き抜いた経営者ってエピソードが今じゃありえなさすぎるので面白いんだけど、この著者は満州時代に普通に捕虜になったり、戦後外資会社が独占しようとする石油市場の中で政府と大立ち回りしたり、不安定な状況下の中極秘裏にイランと取引交渉したりと、ひとつひとつのエピソードがめちゃくちゃ強い。
そこまで分厚い本ではないんですが、話の強さだけで読み応えめちゃくちゃあります。
IT Text 自然言語処理の基礎
自然言語処理を現在の大規模言語モデルの礎となるTransformerに至るまで、
みんなで考えるAIとバイオテクノロジーの未来社会
バイオテクノロジー系の分野の色々なトピックについて語られている本と思い読み始めて、実際そうではあるんだけど対話形式で著者が若者に初手で「行動しないで文句ばっかり言ってないか?」と大説教をかましているので印象が悪い。
AIと、と言っているがジェンダー論だったりクローン技術だったり寿命の学説だったり……とバイオ系のトピックが多め。あくまで「未来社会」を考えるというところがメインの本ですね。
A.T. カーニー 業界別 経営アジェンダ 2025 (日本経済新聞出版)
1月に読んだBCGの時勢本と似た位置づけのカーニー版。
結構業界ごとの今後の論点や動向、後半では業界横断的にサプライチェーンだったりM&Aだったりの話が書かれている。AIのディープリサーチなどが台頭している今、こういった本の価値は自身が注視していない、脳みそのないトピックを拾えるところになってきそうですね。内容としてはBCGの奴の方が読みやすかった気がしますが、こっちも参考にはなりましたって感じ。(もう来年以降は買わないと思うけど)
6月
ゼロからできるMCMC マルコフ連鎖モンテカルロ法の実践的入門 (KS理工学専門書)
とある筋では名著と呼ばれている本。Kindleのセールで購入した。
マルコフ連鎖モンテカルロ法の基本条件として、マルコフ連鎖、規約性、非周期性、詳細平衡条件……と挙げられている。説明とかは極力直観的にイメージできるようにしてくれている印象だった。実際手を動かすなり、コードを書きながらもう一度読み返したいところ。
光ファイバ通信実用化研究の夜明け前- NTT 基礎3 研の足跡ー
東京のとある古本屋で100円ちょっとで売られていて、そのあまりにもの内容のニッチさに溜まらず購入して即読了。複数人の研究者の視点から光ファイバ、日本の光通信技術における黎明期の動向や試行錯誤、空気感が感じられるいい本でした。以下はザーッとまとめた動向だけど理解と違うとこもあるかも。
1966年にC.K. Kaoが光ファイバ通信の可能性を示す論文を発表し、同年に電電公社から基礎3研究所が発足した。Kaoは低損失光ファイバの実現可能性を早期に見抜き、日本を含む各国研究機関に共同開発を呼びかけたが、当時は十分に受け止められなかった。後に日本側では「通信研究所こそ先陣を切るべきだった」という反省が語られている。
1970年にはコーニング社が低損失光ファイバを実現し、光ファイバ開発で世界をリードした。これに対し、基礎3研をはじめとする日本勢は、ベル研やコーニングに追いつき追い越すべく研究を進めた。初期には光ビーム伝送路、集光レンズ、伝送路の曲がり、許容伝送距離、光制御など、まだ手探りの研究が行われており、現場感のある試行錯誤が多く描かれている。
日本側の大きな成果は、コーニング社の論文を手がかりに、SiO₂系ガラスに添加物を加えた光ファイバを再現・改良しようとした点にある。研究者たちは、屈折率を変えられ、かつ着色しにくい添加物としてGeO₂に着目した。また、既存のMCVD法とは別に、日本独自の製法を模索した。
その過程で、研究は一時停滞し、研究中止を迫られるほどだったが、Heガスを電気炉に導入することで製造上の課題だった再現性を改善し、安定した製法を確立した。これが後にVAD法として発表され、日本独自の光ファイバ製造技術として重要な成果となった。
一方で、研究者個人の歩みとしては必ずしも順風満帆ではなかった。成果が出た後に基礎3研へ戻されたり、管理職側に回ったり、論文共著者に関係の薄い上司が入ったりと、不遇ともいえる扱いもあった。ただし本人は、それを「塞翁が馬」と受け止めている。
広報・PRの基本
全体的に広報の仕事に関してまあそうだろうなと言う内容かつオールドタイプな感じで、特にGoogle検索以上の情報はなかった感じ。8章に広報担当やマスコミへのインタビューがみっちり詰まったおまけがあるが、こちらも設問3問で1人あたり半ページだからか内容が薄い。もう少し数を絞って1人あたりの文を多くすべきだと思った。
プレスリリース5つのキーワード、簡、豊、短、薄、情。そしてV&I(バリューアンドインパクト)。真意、順序、表現は伝えたいーわかってもらえる軸で……みたいな筆者のこだわりみたいなフレームワークは解説されている。
建設業界 DX革命
地方の歴史あるインフラ系企業である小柳建設3代目としてDXを推進した著者の話。
古い体制の中小企業だった著者の企業にアメーバ経営→システムのクラウド化→ホロレンズを活用したホロストラクションの開発・外販への取り組みに至るまでが語られていた。
父のワンマン経営で成り立つ会社に危機感を覚えた著者はアメーバ経営を学びプロジェクトの見える化、それに伴う炎上時の対策効率化などの効果を上げ浸透。オンプレサーバーのクラウド移行などを進めていく中で、MicrosoftのホロレンズのMR体験に感動し、建設業界でも使えないか……?とコンタクトを取って設計図でイメージがつかない建築物をMRで見る、など社内向けにプロダクト開発を実施、竹中工務店なども携わり施工管理、設計協議の効率化につながるツールとしてリリースをしている。
日本製鉄の転生 巨艦はいかに甦ったか
ちっちゃいプロジェクトXみたいな感じで、めちゃくちゃあっさりと読めるテンポの良い一冊でした。ざっくり言うと製鉄所の取捨選択と販売価格の見直しによる支出の抑制、利益率の向上によるV字回復なんだけど、2019年に最悪の状況で社長就任してわずか二年でそこまでもっていった橋本英二社長の辣腕を感じた。
中盤以降はインド・米国・タイなどの鉄鋼会社買収や原料会社への投資などの打ち手、後半は水素還元鉄や技術承継などの技術周りの話と、一通り近年の日本製鉄に関する動向がつかめるのでお勧め。
灘校~なぜ「日本一」であり続けるのか~ (光文社新書)
灘高校がどのように誕生してどのように日本一になったのか……というこの本を手に取った人が一番気になる話がほぼ1章で終わります。以降は灘で輩出された様々な分野のOBや、在学生・卒業生のアンケートや集計結果の話、そして諸外国や関東、甲陽学院と比較した時のなどの特色など様々な角度から灘のことが明らかになる感じ。ちっちゃい文庫本とは思えない密度です。
この著者の本は他に京大・同志社・立命館の歴史の本を読んだことがあるが、とにかく詳細に書いているという印象で、この本もめっちゃ細かく色々書いてます。