孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

2023年8月に読み終わった本リスト

お盆休みにバリ読みまくった結果、8月は13冊とかなり多かった。

感想まとめるのだるすぎて、全然更新できませんでした……。

 

基準:

  • 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
  • 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義

 

昨月の記事:

2arctan-1.hatenablog.com

 

目次:

 

 

 

 

日本人が外資系企業で働くということ

日系電機メーカー→外資系企業で華々しい経歴を積んできた著者が外資系と国内企業の違い、そして外資系で注意することを書いている。

外資系企業はフラットだけど人間関係が超大事だよとか、ロジカルに意見を言えないと居場所なくなるよ、日本にある外資系企業は3000社もあるからピンキリだよ、とかそんなことが書いてある。後は業界ごとの外資系の特徴とか。著者の経験によりすぎる感じもするので、汎用的な感じはしないがすごい業績のおっさんのありがたい話を聞いていると思いながら読もう。

 

 

研究者

様々な分野の超一流研究者からのありがたい言葉をまとめた1冊。野依良治氏、本庶佑などのノーベル賞受賞者を初め『世界初』の偉業をなしとげた凄まじいメンツが集って自身の来歴+研究者を目指す若者へのメッセージがついてる感じ。普通にバンバン専門分野の話をするのでページ下部に書かれている脚注の量が半端ではない。当然、自分の得意分野でなければ読むのはなかなかしんどい。

私が敬愛する研究者の1人である脳型コンピュータの第一人者である松本元氏や、電子線ホログラフィーの第一人者である日立の外村彰氏などの章が特に面白かった。

 

 

ロジカル・シンキング Best solution

論理的思考はスキルですよー!っていう本で、名著と言われてるやつ。メルカリでやたら安くで売ってたので買って読んでみた。結論、根拠、方法で論理を組み立てる。各要素間は同階層の関係はMECEに、上下階層間はSo what?/Why so?が成り立つようにする。基本はこれだけなんだが、それをするのが中々難しい……ってやつ。

別に近年のロジカルシンキング系の本でもいい気もするが(感想)、思ってたよりは読みやすくとっつきやすい(根拠)のでとりあえず読んでみるべき(結論)。

 

 

坂本真樹先生が教える 人工知能がほぼほぼわかる本

お盆休みに入ったので趣味でブックオフで買った人工知能系の雑多な本を大量消化した。その1冊目。

帯に「女性ならではの視点!」みたいなことが書かれていたけど、本文は漫画混じりで人工知能の一般的な知識について解説する普通の本でどこにも女性ならではのポイントはなかった。

人工知能の歴史、人工知能の扱いやすいもの/扱いにくいもの、アルゴリズムの概説、実用例という中身でこの本ならではのポイントはなし。ただ、著者が人工知能に触覚などの感覚を導入する研究を行ってることもあり、そこら辺の小話は面白かった。

あと東大卒女性タレントの菊川怜は東大工学部卒業時の論文が遺伝アルゴリズムを用いたものだと言うことを初めて知った(著者と同じ大学の後輩らしい)。

 

 

機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで

こちらも入門本で前に紹介した坂本先生の本と同じポップなイラスト系。こちらはアルゴリズムというか機械学習の仕組みに重点を置かれており、白雪姫に出てくる女王様と鏡を主人公とした物語調で読み進められる。

本書が出たのが2016年末ということもあってか、現在では当たり前の「ミニバッチ学習」が最新の手法として解説されていたり、ボルツマン機械学習についてめちゃくちゃ丁寧に説明されているところである。

ボルツマン機械学習→制限ボルツマンマシンは直観的には難しい上に現在はほぼ使われていない(間違ってたらごめん)手法なので、それがこのレベルの入門本で書かれているのはすごく珍しいと思う。

 

 

人工知能システムを外注する前に読む本~ディープラーニングビジネスのすべて~

こちらはビジネス寄りのAI本で、流行り始めたばかりの人工知能システムをどう発注するか、何に気をつければいいかに着目して書かれた割と先進的なテーマの本である。人工知能の歴史や技術概説もあるが「ちょっと簡略化しすぎじゃないか?」という表現があるので信じすぎないように。

内容はめっちゃ古い。代表的な深層学習フレームワークがCaffe, Chainer, Thearoとか言ってはる。簡単なソフトを使って人工知能を体験してみよう!という章末コラムも今では全く聞かないフリーソフトを使っている。当時はビジネスマンが人工知能を試してみる=こういうソフトを使う、だったのか……?となる。

AIの説明性が大事になってくる、という指摘やハイパラチューニング、データのアノテーション付与などもビジネスになるからAIに直接携わない企業にもチャンスがある、などの話はその通り。

 

 

人工知能グラフィックガイド

今年読んだ本の中でも割と上位に入る奇妙な本。

基本的にはAIの歴史とか哲学的問題について語られている。が、イラストに癖があり過ぎて中身が入ってこない。さらに題名、本文、イラストのセリフが全て「内容が繋がっている」ので本文だけ読んでると話がわかんなくなる。あと、2019年発売だが原著は2013年刊行なので深層学習の話はない。なんそれ!!

この本に関しては、翻訳が酷いのか元々本自体が酷いのかが大いに謎である。

 

 

鉄腕アトムのような医師 AIとスマホが変える日本の医療

AIという単語があって、医療系AIの話はええやんええやん!と思ってブックオフ購入。大体こういう本は220円だからつい買ってしまう……。

実際には殆ど慈恵会医科大学が推進している医療ICTのアプリやプラットフォームに関する取り組みの話であり、AIというよりもっと前段のICT化くらいの気持ちで読むと良い。遠隔医療や電子カルテ関連など医療におけるIT活用について『法律』がどのように関わってくるかがわかる。

鉄腕アトムのような〜っていうタイトルだけど、鉄腕アトム的な話やエピソードの引用などマジで何も無いことには注意が必要。

 

 

AIとはこう付き合え!

AIと名がついているが、殆ど不動産の選び方に関する本である。要するに「不動産情報はそもそも一般に有利な情報がほとんど回っていないからAIで何とかできない」ということを言っている。不動産業界の情報の囲い込みや一般人がどうやって儲かる物件を探し当てるのかの『ヒント』が書いてある。この著者自身としては何も言いきってはいない。不動産を吟味する時に見るべき情報や考え方の話、スルガショック関連の話はめちゃくちゃ面白い。

タイトルからAI本かなと期待して買って、全然そんなことはなかったがAI本の9割弱くらいよりは読んでいて面白い本だと思う。(AI本を読みまくっている自分が言うので信じてください……笑)

 

 

データでいのちを描く―テレビディレクターが自分でAIをつくったわけ

NHKの番組プロデューサーの人で、NHKスペシャルで自ら開発したAIによる番組を手掛けるなどデータに基づいたジャーナリズムを心がける著者によるデータ分析関連の取り組みや報道に関する取り組みや狙いがまとめられた本。

取り組みは東北大震災の被害の可視化、紙媒体データなどのデータ整形を駆使して沖縄戦の被害などの可視化を実施したところと、チャットボットAIをブレーンストーミングのような形で発想を色々出すことに活用した大きく二つであり、それぞれNHKスペシャルなどで番組に挙げている。可視化することで見えてくるものがある、データを見る目には3種類ある、様々な事象に対する「ものさし」を持つことで世界の解像度が上がるといった話はごもっともだと思います。

 

 

図解 人工知能大全

野村総研の研究員の人たちが人工知能に関するトピックをある程度網羅的にまとめたもの。「大全」とタイトルについているだけあって事例などは非常にたくさん載っている。おおよそこの手のビジネスマンが読むAI関連のトピックはだいたいまとまっているが、「2018年時点」の話であることに注意したい。こういう本に載っている活用事例や最新手法が数年後どうなったか追跡するのは面白そうだと思う(全然やれていないが……)。

 

 

ITと熟練農家の技で稼ぐ AI農業

AI農業という単語から、「農業は人材不足だからベテラン農家さんの暗黙知を最新のAI技術を駆使して形式知にしていこう」みたいな内容を想像した。マジでその通りの内容だった。農家さんの視線を追跡するためにアイカメラをつけたり、判断基準をアンケートなどでヒヤリングしたり、作物などにセンサーを付けたりとおおよそこういうAI活用の話でやりそうなことをやった取り組みが紹介されている。

読んでいる限り農業は業界自体が高齢者が多く、かなりアナログなのでまずこういう取り組みで生産性を上げるための環境づくりにめちゃくちゃ時間がかかってプラットフォームが成立する前にベテラン農家さんたちがサヨナラしてしまうんじゃないかと思った。

 

 

2020年、人工知能は車を運転するのか 〜自動運転の現在・過去・未来〜

部分的には自動運転できるようになっていますが、まだまだです(2023年現在)。

自動運転に関する世界の動向、ACC(アダプティブクルーズコントロール)から自動運転んまでの歴史、そして主要な国内自動車メーカーに関する自動運転に関する取り組みや狙いに関するインタビューが載っている。3章以降のいろんな人のインタビューのところが本書のポイントだと思う。日経とかの記事を読んでいるような感じで、あんまり印象に残るところはなかった。