孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

M-1グランプリ2021準決勝を配信で見た感想(ネタバレなしで)

目次:

 

全体の感想

さて、M-1グランプリシーズン真っ只中の12月のこの頃ですが。

 

昨日、12/2(木)に行われたM-1準決勝を遅れて配信で視聴しましたので、感想をまとめました。

今年は残念ながら決勝発表後に一日遅れで準決勝配信となりますので、決勝進出者をすでに知った上で見ることになります。また、ライブビューイングなどもなかったため、版権等を踏まえたうえで一部ネタが無音・カット処理がなされています。

例年は映画館のライブビューイングで見て、ネタ内容をもとに誰が決勝進出するかを予想してどれくらい的中しているか夜の発表で答え合わせするという楽しみがありました。今年はそれができないのがとても残念です。

また、版権にかかりそうなポイントが無音になる処理が施された結果、ヨネダ2000、モグライダー、ランジャタイ(後半部分)、ゆにばーす(一部だけ)のネタが完全な状態で見ることができなかったのが残念です。

一度配信形式で準決勝を解禁した以上仕方ないことですが、これなら2019年以前のオンライン配信なしで映画館で一度きりの上映の方が良いな……と思いました。来年以降の改善に期待です。

ネタ全体を見た感想としては、

 

・トップバッターの滝音ワイルドカード枠とは思えないくらい最初からウケてた。

・決勝9組はウケ量から納得の人選。

・審査基準は恐らくずっと変わっていないんだろうけど、明らかに「奇抜なネタ」に関する観客側の寛容さが増してウケるようになってきてる。

 

という印象でした。

王道を行くしゃべくり漫才コント漫才による決勝進出者は決勝常連組くらいでほぼ抑えていて、それよりもクセが強くても爆発力のあるネタを観客側がより重要視するようにトレンドが変わってきているのではないかと感じました。

去年のマヂカルラブリーの優勝効果や、もっと前のミルクボーイの優勝によるM-1予選動画からまだ見つかっていない面白い芸人を発掘しようという動きが高まった結果が反映されているのではないかと思います。

 

 

全組面白かったのですが、具体的な感想について以下に記していきたいと思います。

配信は12/4の12時までなのでまだ買ってない方はぜひ。

 

M-1グランプリ2021 準決勝(12/3 12:00)online-ticket.yoshimoto.co.jp

 

 

 

Aブロック

滝音

今年のワイルドカード枠です。

最初のツッコミまでのちょっと長いフリを完全に成功させて、今までの滝音のオモシロワードはしっかり残しつつ語感がめちゃくちゃ印象的なワードを一個後半に加える形にすることによって前年度よりさらに面白くなってるように感じました。ストレートで上がっていても何らおかしくないレベルでしたし、順番次第ならこのネタで決勝もあったのでは?とシンプルに思いました。

 

ヨネダ2000

版権の関係でほぼすべて無音でした。

最初に示された題材と、無音の中の流れを鑑みるに絶対私の大好きなタイプのネタですので、是非とも敗者復活で音ありで見たいです!

 

ニューヨーク

相も変わらず今のご時世の風潮を皮肉ったような目線のネタで、安定の面白さです。前年度のネタを彷彿とさせる感じを残しつつ、より世間様に怒られない程度に毒を盛れるように調整してきた印象を受けました。屋敷がしっかり悪い発言を諫めてるから安心して悪い部分を皮肉る面白さを感じ取れましたね。こればっかりは運もあるから仕方がない気はしますが、出番順ちょっと早すぎた気はしますね~。

 

カベポスター

ABCお笑いグランプリの時にも感じたんですが、前年度のM-1準決勝に比べて面白さを残したまま圧倒的にすんなり理解しやすくなっている印象を受けました。さながら減量に成功してますますパワーとスピードを兼ね備えた競走馬のようです。

ロジカルな論調で粛々と進む話に気持ちいいタイミングでツッコミが入ってかなり良かったです。今年はマンパワーがあって爆笑が取れる組がそのまま決勝を持って行った感じがして少し後塵を拝したような印象はありましたが、カベポスターは来年度決勝進出組の最有力の一角だと思います。来年が楽しみです!

 

マユリカ

しっかりとした王道のコント漫才って感じで、面白かったです。中谷のコントの女性役の感じと声の高い少し女性的なツッコミは個人的にかなりツボでめちゃくちゃ笑ってしまいます。後半にインパクトの強い漫才が続いたので、その中で少し埋もれてしまったところはあったかもしれません。

 

ハライチ

今年ラストイヤーで、新旧を跨いで過去4回M-1グランプリに進出した実力派で文句なしの売れっ子です。やっぱり岩井の挙動に澤部が翻弄されて広げていくハライチのスタイルはフォーマットがどんなに変わっても健在で、唯一無二の面白さだと思います。今回の準決勝の出場組の中で会場で是非生で見たかったなと思う漫才の一つでした。

 

真空ジェシカ

(ほぼ無音だったヨネダ2000は置いておくとして)個人的にはAブロックで一番面白かったです。見た人からの決勝進出予想が高かった理由が良くわかりました。

ボケ数が多いしっかりしたコント漫才で、次々「感度の高い人」にぶっ刺さるツッコミでドカドカ爆笑をとっていた印象です。伏線回収の技術も嫌味がなくとてもいいタイミングで発動していて、緻密に練り込まれた戦略が全てハマって決勝の切符をしっかりつかみ取ったという印象を受けました。今年優勝する可能性も大いにあると思うし、そうでなくても来年からは決勝常連になりそうな予感がしますね。

 

 

Bブロック

東京ホテイソン

去年の決勝での審査員からのフィードバックを踏まえて、よりわかりやすい方向に調整してきたという印象です。ショーゴがボケ前に丁寧に振って、さらにたけるがもう一押し説明を加える形でかなりキラーツッコミ前の誘導にも力を入れているといった感じがありその点で少し新しさを感じました。

印象としてはスタイルが少し変わったことによりちょっとトムブラウンとかを彷彿とさせるところがあり、それだったらもう少し不親切で不条理でもよかったんじゃないかなと感じるところはありました。やっぱり長くて意味の分からないたけるのツッコミフレーズが聞きたい気持ちがあります。

 

見取り図

見取り図のコント漫才は安定感がとても強く、そしてやっぱり面白いです。印象としては去年の決勝1本目のスタイルを踏襲したような形のコント漫才で、後半の盛り上げは見事でした。内容としては決勝に行ってもおかしくなかったとは思いますが、前年度の差分を見ると前年度のネタほどのパワーはなかったかなと感じました。見取り図などのような正統派と言われるタイプの漫才だと、やっぱり過去の自分との闘いになってくるのではないかなと思います。

 

ゆにばーす

会場がかなりウケていた気がしますし、かなり面白いです。

以前2回決勝出てた時のコント漫才スタイルから男女コンビの特性を活かした形式に変えて、昨年2位だった敗者復活時のネタのスタイルを強化してさらに面白くなっているように感じました。ネタの題材的に去年のアキナみたいに、準決勝では凄くウケてたのに決勝ではハマらなかったみたいになりうる可能性がありそうなのが少し懸念材料でしょうか。

 

ロングコートダディ

めちゃくちゃバカな感じのネタでめっちゃ面白かったです!

今回はコント漫才的な感じだったんですけど、二人のゆるっとした独特の空気感と不条理な展開が完全に会場にハマってて凄くウケてたように感じました。何も考えずに見て、ただただバカバカしい流れに爆笑できるかなり好みのネタでした。ロングコートダディも準決勝何回も出てますけど、今年明確に決勝への道を掴み取ったってかんじですね。

 

男性ブランコ

見ていて語感が凄く楽しいネタでした。平井の語感とくだらなさがある程度続いた後の唐突な裏切りにかなり笑ってしまいました。曲者ぞろいで魑魅魍魎と化している(?)感のある近年の準決勝でなかなか印象に残りづらいタイプではありますが、キングオブコント共々漫才の方でもさらに味の増した男性ブランコが見てみたいなあと思いました。

 

アインシュタイン

準決勝常連で、今やかなりテレビでもよく見る人気者となったアインシュタインです。稲ちゃんの顔は強烈な武器ですが、同時に強烈なネタバレと制約でもあるので大ウケで会場を持っていく感じではなかった気がしました。手札のバレをものともしない強烈な大爆笑を取る構成のネタにするか、顔をフリにする新しいスタイルのアインシュタインを見てみたいなあと思いました(去年も準々決勝見て同じことを思いましたが)。

 

 

Cブロック

もも

ここ2,3年注目されていた関西の若手芸人が満を持しての準決勝進出です。

今までのもものやってきた強いフレーズ大集合って感じのネタで、前に見たことはあったネタなんですがその時よりもテンポの良さとフレーズの強さが増しててかなりウケていたように感じました。また、最初の説明が丁寧で初見の人もすんなり楽しめるようにできていると感じました。もものネタはフォーマット系なので一度準決勝で敗退すると翌年以降はなかなか厳しい感じだと思いますが、バッチリと決めきりましたね。

かなりネタが仕上がっている印象を受けましたので、ミルクボーイのようにフォーマットがドハマりして一気にスターダムに駆け上がる可能性も大いに感じました。

 

オズワルド

やっぱり今年の優勝候補だと思います。去年より明らかに面白かったですし、見たことあるネタなんですが賞レース向けにその時よりさらに面白くなっていました。切れ味抜群でオチも最高に決まっていて、今年勝たなきゃいつ勝つんだよ!と言わんばかりの力強さを感じます。

 

ランジャタイ

後半の方がほとんど版権の関係で無音になっていました。決勝までのお楽しみって感じですね。

 

金属バット

ちょっとかまいたちUFJのような感じのあるネタで、金属バットの代名詞ともいえる毒の要素はかなり控えめという印象でした。

金属バットは注目され始めたところと比較すると大分尖った部分を調整してマイルドかつバランスの良いしゃべくり漫才になっているという印象ですが、今回は少し抑え過ぎていたのかなという気がします。去年準決勝かなりウケてたけど落とされたところも踏まえてのチョイスだったかもしれません。別で尖ったネタがありそうな気がしますので、もしかしたら敗者復活戦では違うネタを出してくるかもしれませんね。

 

ダイタク

準決勝常連で、毎度毎度切り口の違う双子ネタを持って上がってくるのは凄いなと思います。ダイタクに限らず兄弟漫才師って呼吸があってて上手いなと感じることが多いですが、ダイタクもやはり上手いです。ただ双子という切り口から攻める身近な感じのボケは大爆笑にはなかなか繋がりづらく強烈なメンツの中で少し印象が薄かったかなというところと、後半でがっつり言い間違いがあったのが響いてそうな感じはしました。

 

からし蓮根

一か所かなり爆笑を取ったフレーズがあり、全体的にも安定したコント漫才で高水準で面白かった気がします。ただ、やはりからし蓮根は2年前のめちゃくちゃウケた教習所のネタの幻影がありますのでどうしてもそこと比較してしまうところがあります。からし蓮根はどのネタも面白いので、かつて決勝行った時の自身のベストアクトを超えれるかどうかが一つのラインになってくるのではないでしょうか。

 

インディアンス

2019年の決勝ネタと同じような感じで、パワーアップさせたようなネタです。元々インディアンスは圧倒的なボケ数で空気を引き寄せる腕力を持っている一方、コント漫才だと話が散漫に感じてしまうところを感じていたのですが、今年はそこら辺のバランスがさらに調整されてくどさを感じずに面白かったなと思います。過去二回と比べても明らかに仕上がっていて、これは決勝行くなという納得感を感じました。

 

 

Dブロック

ヘンダーソン

コントに入ると思ったら入らないというちょっとメタ的なフォーマットのネタで、面白かったです。今年だけで言っても怪奇!YesどんぐりRPGの三回戦のネタとかアントワネットとか似たようなアプローチのネタは他にもありましたが、一番見やすくて完成度が高く感じました。コントに入っている時とそうでない時でボケツッコミが入れ替わっているところが個人的にオツな感じがして良いなと思います。

 

キュウ

キュウは個人的に解くに応援しているコンビのうちの一組で、今年はクイズ要素の強い非常に秀逸な『仕組み』を持った面白いネタでした。キュウはYouTubeにほぼ全部のネタを乗せているので見たことはあったのですが、その時と比べて細部を変えてよりM-1仕様に面白くなっていました。二回連続で準決勝行くことでキュウの仕組みは大分浸透してきていると思うので、さらに火力の強いネタで来年以降決勝行くことを期待しています。今年もすごく面白かったです!

 

アルコ&ピース

10年くらい前にTHE MANZAIで好成績を収めた「巻物」のフォーマットのネタを長年かけて完全なる完成形に仕上げたネタという感じで、めちゃくちゃ面白かっただけではなく感動を覚えました。

多分決勝結果を知らずに準決勝を見ていたらアルコ&ピースは進出予想に入れていたと思います。アルピー自体はテレビで実績のある十分有名な芸人なので、敗者復活の潮目次第ではワンチャン勝ち上がるんじゃないかなと睨んでいます。

 

錦鯉

今年もバカバカしくてスカッと面白い最高のネタで、ウケ量的にも納得の決勝進出って感じでした。過去に見たことのあるネタでしたが、昨年M-1決勝でキャラクターが浸透したのを踏まえたうえで今年満を持して勝負所で持ってきたのかなと。後半の畳みかけがめちゃくちゃキレイにハマってて後半の面白さが止まらなかったです。今年もめちゃくちゃ明るい50歳のおじさんの「こんにちはーーーー!!」を決勝で聞くのが楽しみすぎますね。

 

モグライダー

今年のM-1グランプリ3回戦の動画を見た中で一番面白くて笑ったのがこのモグライダーのネタでした。残念ながら準決勝は版権の関係で無音が多くネタ内容の詳細は分かりませんでしたが、決勝までのお楽しみということで取っておきます。

凄く爆発力があり、マヂラブの優勝などを踏まえクセの強い芸人に対して明らかに世が寛容になってきていますので、決勝で大爆発があるんじゃないかなと楽しみにしていますし、個人的に決勝組で一番応援しているコンビです。

 

さや香

2017年の決勝進出以来、久々に準決勝に帰ってきました。

2017年以降色々スタイルを模索しながら苦労していた印象を受けますが、今年のABCお笑いグランプリの感想でも言った通り新山がツッコミに回ることでコペルニクス的転回と呼べるほどに劇的に印象が変わって面白くなった気がします。ただ、順番的に錦鯉モグライダーと続いたのでかなり荒らされた中でやったのが効いていたんじゃないかなという気はします。来年以降も準決勝に上ってきそうな気はしますね。

 

 

 

 

 

以上、12/19の決勝と敗者復活が楽しみです!!

 

 

 

それではまた。