孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

やればできるしやりたいはずだけどめんどくさいことを後回しにして腐らせてしまう人の話

タイトル通り。

 

年々『めんどくさい』のコストが上がってきているなと感じます。昔からそうだったことに、今更気づいただけなのかもしれませんが。

たとえば今日、行きたかったアイドルのライブがインドネシアでありました。

海外に旅行して宿泊して________と諸々の手配や仕事の調整の面倒くささを考えて、結局『行かなかった』のです。

 

大事なのは自分はそこに行きたいと思っていたはずで、行こうと思えば全然行けたのです。

なぜならインドネシアでライブを行う旨が発表されたのはおよそ今年の3月頃。宿やライブチケットを抑え、交通手段を確保し、仕事が休めるように調整するのに十分な猶予があったと言えるでしょう。

 

ただ、『公式の日本からのツアーパックみたいなのが用意されるやろ』と思って暫く放置してる間に月日が経ち、どうやら自分で全てライブに行くための必要な宿や飛行機やチケットを抑えなければならないとなった時に死ぬほどめんどくさいと感じました。

ざっと調べたらまあ予算的には全然行けそうでした。ただ、英語を読んでライブのチケットの詳細を確認したり、飛行機のルートや時間の整合性を確認するのがとてもめんどくさく、後でいいやと後回しにしてる間に1か月前、2週間前……と日にちが迫っていきました。

 

そして、あれほど前に発表されていたインドネシアのライブの日程がいつの間にか直前まで迫り、行くなら行くで仕事の調整含めて全てを短期日程でやらねばならない所まで詰まっていました。

 

早め早めにやっておけば一つ一つの作業はそこまでめんどくさくなかったはずなのに。

 

めんどくさいものを後回しにした結果、とんでもない作業量を短期間にやらねばならない『めんどくささの塊』が目の前に出来上がっていました。

 

そうして私は、面倒くさすぎてもう行かなくていいや、と普通に仕事をルーティンでやることを選びインドネシア行きの飛行機のサイトを見るのもやめたのです。

 

 

そうして今日は普通に仕事の出張を終えて1日遊んで帰ってるわけですが、行けなかった悔しさみたいなのはあんまりありません。

が、自分の怠惰さに対する失望みたいなものが裡に湧いています。

 

やりたいことならやっとけよ!できるはずなのに!

 

と、その部分で自分に対して別の自分が怒っています。

 

同様の後回し癖は実は現在進行形で他にあって、たとえば今年も出ようと思ってるM-1グランプリエントリーシートを2週間前に書き終えたのにポストに投函するのがめんどくてまだ家に置いています。

申し込んでみたいアイデアのコンペの用紙にはまだ何も書いていないですし、社内制度で立候補してみたいものに対する意思表示や情報収集はやろうと思ってやってません。

 

こんなんばっかり。

 

昔からそうだったのか、嫌でも、昔ならもっとめんどいことに取り組めていたような。

 

行動コストに負けない人になりたいです。

 

やらざるを得ない状況になれば、あとは動くだけなので。

やりたくないがゆえの沈黙ならいいですが、そうでないなら動かないと、と思いました。

 

今日という日を迎えて、今の自分の1番嫌いでダメだと思うところが全面に出てきた感じがします。まだ7月ですし、今年は巻き返せると信じてプールしてる『自分がやりたいしやればできるはずだけどめんどくさくてまだやっていないこと』を潰すために動いていこうと思います。

 

 

 

 

 

めんどくさい。

 

ブログ書くのもめんどくさいけど、楽しいので、書きます。

2023年6月に読み終わった本のリスト

6月は5冊。相変わらずAI系の本多め。

基準:

  • 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
  • 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義

 

昨月の記事:

2arctan-1.hatenablog.com

 

目次:

 

 

データサイエンスの無駄遣い 日常の些細な出来事を真面目に分析する

タイトルに「無駄遣い」とあるとおり、日常の様々なことを分析したりシミュレーションしたりする本でくだらないけど面白い。『データサイエンス』とタイトルにはあるが、3Dデザインによるシミュレーションやプロジェクションマッピング環境構築など扱う話題は幅広い。本当の意味でデータサイエンスっぽいのは「既読スルーされる確率を予測する」「自分のメッセージを模したチャットボットを作る」「飲み会で盛り上がるかセルオートマトンでシミュレーション」「お遍路参りの時の自分の状態をウェアラブルセンサで測定する」とかくらいかも(結構あるか)。

どんな実装したかも書いてあるので、興味ある人は読んでみる価値はあると思う。kindle unlimitedだと無料っぽい。

 

 

リアル店舗の逆襲~対アマゾンのAI戦略~

リテールAI研究会というところが出しており、小売業に対してどうAIを活用し付加価値を高めていくかというところを小売り店舗/メーカー/卸売業の章に分かれて語っている。トライアル(九州のスーパー)関連のトピックが全体の半分くらいを占めておりトライアルのAIカメラ・スマートレジ導入店舗で行われた取り組み、実証実験の狙い・条件・検証結果、今後の展望などは読む価値が高いと思う。

別でトライアルの会長が書いた小売業AI導入に関する本がこの書籍のもう少し後に出ているようなので、そちらも機会があれば読んでみたいところ。

リテールAI研究会のホームページは下記。独自でリテールAI検定なる資格試験も実施しているようだが果たしてこちらは取る価値があるのかは不明。

retail-ai.or.jp

 

 

 

データ分析・AIを実務に活かす データドリブン思考

データ分析は「意思決定プロセスを改善する」ために実施されるべきという主張をもとに、ビジネスにデータ分析を活かすにはどうすればいいか書かれた一冊。

例として挙げられている事例の解像度が高く、データ分析で「わかったこと」がなぜ役に立たないことになってしまうのかが実感しやすい。解消したい問題→解消したい課題→意思決定プロセスの課題→データ分析で解く対象と絞り込むフレームワークの納得感も大きい。データ分析をするのみでなく、役立てるにはどうすればいいかを考える上で非常に役に立つ内容でありながらとても読みやすい。これからも折に触れて読み返すのではないかと思う。

余談だが著者は企業勤め時代ハードワーカーすぎて10年間の間に3回倒れて2回博士号(工学/経営学)を取得したらしい。積んでるエンジンが常人と違いすぎる。

 

 

 

西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)

3年前くらいにkindleのセールで安値で購入したのを放置してて、新幹線での移動中にさっと読んだ。

昔の西洋では識字率がそもそも低く、絵には「メッセージ」が込められていた。そのメッセージを読むにはどうすれば良いか、そして代表的な絵画の事例をもとにその国や時代に生じた絵画のメッセージ・歴史背景をざっくり解説している本。こういう美術作品から歴史背景を元にメッセージを読み解く学問を図像学(イコノグラフィー)というらしい。例えば流行り病による死者が続出したときに聖書のエピソードで対応する人物の絵画が流行る、一般人でも見てわかるように聖ペテロ=鍵を持つなどの属性が付与されている、など描かれているモチーフの属性や流行り廃りにも『意味』があることが面白く感じた。こういう時代背景を考えながら美術館を回る教養あるジジイに将来なろうと思う。

 

 

 

プロマネ現場読本 デスマーチを乗り切るために持っておくべき知識のすべて

プロジェクト管理とか進め方とか、ざっくり知っときたくて読んだ。

映画館座席予約システムの開発をテーマとして、プロジェクトがどのように始まりどのように契約を結び、どのように合意をして進め、どのように締結するのかキックオフから受入まで書かれている。小規模なウォーターフォールモデルでの開発の進め方について事例を通してサクサク学べる。結構分厚いけど割とすぐ読み終わった。

 

 

 

 

第44回ABCお笑いグランプリ(2023)決勝感想

以下感想

全体の感想

決勝進出者は前年度から連続で出る組が多かった気がします。有名どころとダークホースが入り混じっていて中々わくわくするメンツでした。
その他にも新顔として本田望結ちゃんがアシスタントに入ったり、審査員に「う大先生」が加わったりとフレッシュな感じです。
大会の結果としてはダブルヒガシの腕力が光った形で、特に2本目は深いこと何も考えないで笑えるすごく良いネタだったと思いますし令和ロマンも高度に張り巡らされたネタで本当に同点くらいだったと思います。ファーストステージの結果を踏まえてダブルヒガシに軍配が上がりましたが、決選投票だとまた変わったかもしれませんね。
とはいえ、納得の優勝だったと思います。ダブルヒガシ、おめでとうございます!

各感想

スペシャル漫才

カベポスター

星座がややこしい。今のトレンドを面白く皮肉的に盛り込んだめちゃくちゃいいネタだった。センシティブではない話題を使ってセンシティブな話題が持つ構造の面白さを表現しているのが良い。
スペシャルアクトでもここまでしっかり仕上げたネタ持ってきてるのすごい。

さや香

腹立つこと。石井の顔のうるささとロケーションを上空数千メートルに持ち上げただけで態度の悪い店員にキレるシチュエーションが凄くおかしくなるなと思った。
終わった後の新山が本田真凛の熱愛をいじってたの面白かった。

見取り図

お座敷遊び。見取り図の劇場とかでよくやる鉄板ネタだけど、それだけに遊び要素が凄く多くてめちゃくちゃ遊んでて面白かった。生放送で賞レースの緊張感とは真逆のこれだけ遊んだネタ見れて良かった!ちんぼる、珍棒かと思った。

Aブロック

天才ピアニスト

真犯人。誘い笑いする、いらんどうでもいい話を乗ってくるといったおばさんあるあるとハンカチ持っていないっていうおばさんないないの塩梅がちょうど良くて面白かった。
一方でナイフを急にますみが刺すところが突然すぎる感があったり、登場人物の関係性とかそもそもの年齢設定がわかりにくい(山内が指摘してたポイント)というところは気になった。

素敵じゃないか

彼女の様子がおかしい。去年のM-1準々決勝でやっててシステムがとても面白いネタですごくよかった。ジェスチャーのチョイス、答え合わせ、後処理の細かさと丁寧さがすごく面白い。 今年の後半にかけてこのシステムが展開した漫才が見れるんじゃないかとすごく楽しみ。

こたけ正義感

名曲に含まれた違法な表現。去年と比べるとモニターに移し替え、YouTubeなどでもやっているリーガルチェックのネタ。
スキマスイッチ全力少年が止まることなく流れる中でいちいちこたけ正義感が歌詞をなぞりながら法律的観点的に違法な点を突っ込むので単純にごちゃごちゃしていて聞き取りにくいのが気になった。別に歌詞の復唱はいらんと思う。
後一つ一つの歌詞を掘り下げる時間がなく歌詞に対する法律的なツッコミがどうしても浅くなっちゃうのも去年のフリップネタと比べて感じて、せっかく弁護士やってはるのに勿体ないなと感じた。

サスペンダーズ

ご祝儀袋。最初の結婚のマナー話すくだりが長すぎて、結婚式の前という設定を踏まえるとその間にパーカーの男性に漂う違和感からお客さんに「ちょっと待った」やる人だって見透かされちゃっているからネタバラシがバラシになってなかったと思う。
古川のリアクションと「ちょっと待ったやるの見て~~~!」って言うところは面白かったけど、パーカーの人の人物設定としては、例えば『あんまり喋ったことはないけど一応会社の同僚』とかせめてひとみさんと少しは関係性がある「ちょっと待った」を言えそうなラインに置いておいてほしかった(ガチのストーカーだったら「ちょっと待った」やらんと直接ひとみさんに何か仕掛けるでしょ)。

Bブロック

ダウ90000

ゼミの彼女。前回コントじゃないとか言われてちょっと荒れてたけど、今回はかなり見やすくなったし、喩えを大人数で振ってる感じが面白かった。大人数で短い時間で面白いネタを見せる工夫が詰まってて単純にすげー!となった。
最後まで展開が垂れることなく見切れたし、去年からの賞レースに対する調整が違うなと感じた。Bブロックはダウ90000か令和ロマンかだったと思う。

令和ロマン

男らしいラブソング。バックナンバーの曲の歌詞を「男らしい」フィルターで見るとすごく面白くなるっていう仕組みはシンプルだけど歌の後のボケ方が多彩だったり、「人数少なくない?」とか「星座―レス」とか前の芸人がやったネタをうまく使ったりとすごいベテランしぐさなところがあって腕を感じた。

ハイツ友の会

声優学校。どの切り口で笑いを取るのかと思ったら、バイトのいい先輩が「声優学校に通っている」という一本で声優学校とか声優の偏見で笑わせるのが意地悪なストロングスタイルで結構面白い。 う大の言う通り、最初の敬語のやり取りとか冗長なところは感じたり、コントだけどほぼ直立で二人の会話のラリーだけでやっているところとかなんかもっと何とかなりそうなところはあるけど、それ差し引いても単純に面白かった。

友田オレ

どうにかできたはず。今回の出場者で唯一ネタを一本も見たことない芸人ということで前情報なしで楽しみに見た。
歌ネタ×フリップでかなりよくあるスキームだったけど、歌上手くて取り上げる事例が面白くてよかった。他の3組と比べるとインパクトは薄かったかもしれないがまだ現役大学生かつ8ヶ月とからしいので、これからどんどん面白いネタを創っていくと思うし楽しみ。

Cブロック

ストレッチーズ

ファミレスの店員。去年のM-1グランプリ準決勝でやってたネタ。プロセスの移動で明確に笑いどころを作っているけど、それ故にかっちりそこに合わせに行き過ぎてる感じがしてシステムシステムしててそこが気になった。あとちょっと入れ込んでてツッコミが力みすぎてた気がする。
審査員のコメントに結構ネタの構成に対するアドバイスがあったことからも察するように、面白くないとかじゃなくてこのままでも十分面白いけどもっと面白くなりそうな伸びしろが沢山あるネタだという気がした。

ヨネダ2000

他人に大声を出して謝る教室。このネタ去年以前からあるやつだけど、最初はボケツッコミがしっかり分かれていて後半からはふざけたリズムネタっぽくなる形で、ヨネダ2000の面白さがわかりやすく伝わるいいネタでチョイスがすごくよかったと思う。去年M-1決勝出たこともあってヨネダ2000のパーソナリティが伝わりやすくなっているのも追い風になったとは思う。

ダブルヒガシ

居酒屋のキャッチ。丁寧な前フリからの居酒屋のキャッチどっか行け!がバッチリはまって後のあるあるのパワフルな実演や教習ビデオとかのくだりで最後まで引っ張りきった感じ。ダブルヒガシの勢いがそのまま出た感じ。これだけウケたらもう行くでしょって素人でも察するくらいウケてたと思う。

オフローズ

幽霊。トリオの中で片方が見えてて片方が見えていない……みたいな設定を幾つも重ねる感じ。この手法だと片方が話している時にもう片方が浮いてて中継待ちの時間が出るのと、要所要所にある説明の部分が長いな~(特に未来人のバラシのところ)とちょっと思った。あとツッコミの人が幽霊側とはすぐ打ち解けたのに元々一緒にいたはずの人間の方とのコミュニケーションが少ないのがなんかすごい気になった。

ファイナルステージ

令和ロマン

恋愛リアリティーショー。去年のM-1準決勝で披露したネタ。若者向けのボケが多いネタだけど、動きがダイナミックで盛り上がる箇所も多くて、3対3で登場人物も多いのにちゃんと機能しているのが良い。「俺がおじさんなばっかりに……」のタイミングがすごく良くて面白かった。かなり緻密に組み立てられているな、とわかるネタだと思う。

ダブルヒガシ

全く知らないラジオ。ただただ「面白い!」という感じのパワフルなネタだった。「きも!」「おもろ!」とかのツッコミからも感じられるように原始的な感情に訴えかけるような地元ノリ、内輪ノリにお客さんを巻き込むような面白さだった。本当に令和ロマンとどっちが勝ってもおかしくなかったと思うけど、ダブルヒガシのパワーは凄かった。

素敵じゃないか

エレベーターの緊急ボタン。これもM-1の予選で見た気がする。
「~~し続ける」の動詞としての解釈が連続的か、断続的かという部分で掛け合いを起こしていく感じで、こちらのネタも面白い。けどまあファイナルの前半二組と比べると、というところはあったんじゃないかと思う。

2023年5月に読み終わった本リスト

一カ月以上前からうっすら読んでいたマスターアルゴリズムをようやく読み終えた。かなりの巨編だが、非常に重厚で面白い。

 

基準:

  • 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
  • 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義

 

昨月の記事:

2arctan-1.hatenablog.com

 

目次:

 

推計学のすすめ 決定と計画の科学 (ブルーバックス)

いつぞやのkindleのセールで購入したものを放置していて、ようやく読んだ。統計学には観測された結果を説明する『記述統計学』とデータの背後の母集団を推測する『推計統計学』を対象としている。記述統計学は以下の記事などを参照。

 

ai-trend.jp

 

平均や分散などの統計量、仮説検定のやり方や採用方法などが小話と共に話されていて読みやすい。昭和の時代の本なのでデータや話の内容は古さを感じるが、基本的な内容には普遍的さがある。いかにもブルーバックスって感じの本。

 

 

マスターアルゴリズム 世界を再構築する「究極の機械学習

ページ数は多く内容もヘビーだが人工知能に纏わる技術、トレンドや歴史などを学びたい人は読んでおくべき本。

機械学習分野の流派を記号主義者、コネクショニスト、進化主義者、ベイズ主義者、類推主義者の主に5つの学派に分けてそれぞれの特徴を紹介している。原著は2012年程度に刊行されたはずなので少し深層学習関連の話がレガシーではあるが、注釈などで一応最近の内容について補足はされている。人工知能の技術流派に関してこれだけ広い範囲を対象に歴史や関係性、メリットデメリットを解説している一般書は自分の知る限りないので、とても価値があると思う。

それぞれの学派のアルゴリズムを統合し、長所を組み合わせた汎用的なマスターアルゴリズムの構築を目指すというのが本書の主題となっている。10章あたりで解説されている著者が考案した類推と論理を組みあわせたという手法RISEに関しては難しくてまだよく理解できていない……。

今現在隆盛を誇っている深層学習は区分上は『コネクショニスト』の流派に区分されており、この本の当時にはなかったLLM(大規模言語モデル)が台頭している。現在の潮流を踏まえたマスターアルゴリズム2023が読みたいところ。到底気軽に読める本ではないですけど、オススメです。

 

 

 

一汁一菜でよいと至るまで(新潮新書

土井善晴先生の現在に至るまでの来歴が記載された一冊。

読んでいくと著名な料理の先生である土井勝先生の息子として生まれ、大学時代にスイスのローザンヌに留学しホテルで修行、帰国後大学卒業まで神戸のフレンチ店で働き、その後フランスのリヨンで修行、帰国後父の料理番組を手伝う中で日本料理を学ぶために味吉兆で修行、そして父の料理学校の講師を務める――と土井先生はとんでもないスーパーエリートであることがわかる。生まれの良さと様々な料理・文化に触れた土井先生の上品な人柄がいかにして形成されてきたかが本書を通じてよくわかる。

ハレの日のごちそうと普段の家庭料理の役割は違う、具沢山の味噌汁とおかず一品の一汁一菜でいいという主張は土井先生の深い経験から得られた発言だと感じられた。

 

 

産業用ロボットの応用

大学院時にブックオフで買って実家に放置していたものをゴールデンウイーク帰省時に流し読み。応用と言ってもロボットの応用的な理論や技術の話はなく、実際に工場に導入された事例集がほとんどである。一応1章で工場にロボットを導入するまでの要件の決め方が簡単に解説されてる。その後の2,3章では実際の企業のロボット導入事例が延々と、全体の2/3くらいのページ数をかけてひたすら紹介されている。1979年とかなり古い本であるため、今はない企業や工場の事例もちょこちょこ入っていて時代を感じる。

 

 

 

加工学基礎 (4) 工作機械と生産システム

こちらもブックオフで買って放置してたのをGWでざっと流し読み。昔はBtoBの工作機械とかに興味あったんです……(今も興味はありますけどね)。

こちらは最初の数章で工作機械の定義とか基本的な加工理論等がきちんと解説されて、後半に工作機械等を組みあわせた実際の生産システム事例が色々記載されている。この本も1985年とかなり古い本なので、事例に挙げられている企業や工場がたまーに潰れていたりしている。

 

 

 

 

最新 AI・デジタル業界大研究 (業界大研究シリーズ)

Amazonでの評価が★1台で、かつ21年発売のかなり新しい本なのに100円でブックオフでたたき売りされていたので、逆に気になってざっと読んだ。

読んでて印象に残った/役に立った箇所はゼロ。AIおよびデジタル関連の専門家ではなく人材関係の業界人たちが集まって書いたからか、ふわっとしたネット知識レベルの業界動向(NAVERまとめレベル)が書き散らかっていて、ソース不明の記述がありもちろん参考文献などはまとめられていない。

 

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↑一番ヤバイなと思った箇所。なんのソースや根拠ももなしに量子コンピュータの計算速度は古典コンピュータの1/1024になると書いてある。

 

Chat GPTの発展で真っ先に駆逐されるべき類の、人力hallucination本。

 

 

 

文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要

図書館で借りて読んだけど、タイトルから受ける印象とは真逆の「しっかりしてる方」のAI本だった(一見まともそうだけど内容ヤバいAI本は結構あるので)。

本書では要するにフルスクラッチでの技術開発・システム構築など高度な理数的素養が必要そうな仕事以外のAIに纏わる仕事をすべて文系AI職として定義している。実質的には理系人材も含めて(文系)AI人材になる、といった内容で対象範囲の広い本と言える。

AIの用途を代行/拡張型の2種類、AIのタスクを識別系/予測系/会話系/実行系の4種類に分けた2x4のカラムに分類してAIプロジェクト事例を紹介しているがかなりすっきりしていて中々わかりやすい。この手の『タイプ分類』はAI系のビジネス書では必ず出てくるのだが、ここの分かりやすさにかなりセンスが出る印象(逆にそれ以外の数式を使わないAIの技術概要みたいなのは同じような説明になりがちなためあんまり差が出ない……)。

 

 

 

マンガ『石ノ森章太郎超電導講座』

漫画なんだけど、半分くらいは超伝導(本書では超電導で統一されているが)の研究・応用開発事例が載ってるので一応読んだ本としてカウント。

超電導の研究トレンド(漫画中の舞台の研究室は多分東大の田中昭二研究室だと思われる)、リニアモーターカー、電磁推進船などの超電導技術応用の話や中国の超電導材料を精製する工場、超電導線を作る古河電工の取材、その他日立や住友電工らの超電導にまつわる特許や学会発表の研究動向など昭和の研究が漫画で読みやすく解説を交えて纏められていて面白い。

リニアモーターカーはともかく電磁推進船って全然聞かないなと思って調べたらエネルギー効率が古典的な船と比べて明らかに劣るから結局ポシャったらしい……。

 

 

理工系N教授のつぶやき

神保町の古本屋で売られていたもので、教授を退官した著者が国立大~私大教授を務める中でのエピソードを徒然と匿名ながら赤裸々に書き綴ったもの。公害対策委員会として対応した水俣病などの環境評価の話、学内での教授会の根回し、企業や役人とのやり取りなどの戦後〜高度成長期のブラックな大学エピソードが書かれており面白かった。昭和の話だから当たり前のように学生運動で大学は荒れるし、偉い教授先生を怒らせるとちゃぶ台返しが起こるし、企業は賄賂とかヤクザを使って何とか要求を押し通そうとしてくる。
特筆すべきは水俣病の環境評価プロジェクト評価でメンバー同士が揉めて教授脱退し、バタバタしつつも環境評価が完了する直前に公害発生元の企業から収賄が贈られてきたエピソード。色々とやばすぎる。

 

 

僕が「化学者」になった理由(わけ)―マー兄ちゃん、教育・家族・環境を語る

これも神保町の古本屋で面白そうだから購入した一冊。ビートたけしの兄で大学教授の北野大氏から見た北野家の話や家族論、環境論などの話が書かれている。しきりに弟は別格だ、凄いと書いていて近くで見ていたが故に感じるものはあるのかなぁと思った。北野大自身も明治大出て、製薬会社の応用研究部門入って、基礎研究やりたくて辞めて都立大院入り直して博士号とって何やかんやで教授やってるエリートな訳だが。

北野家の母は教育ママで行く大学の学部まで指定されていて、北野大は国立大文学部受かっていたけど進学を認めて貰えず明治大の化学系に進学したとか。昭和の家庭だな〜。

 

 

 

【この1冊でよくわかる】ソフトウェアテストの教科書―品質を決定づけるテスト工程の基本と実践

ソフトウェアテストに関する方法などが一冊にまとまった本。基本情報技術者試験とかで抑えるテスト手法やカバレッジのお話だけでなく、ドキュメントの方式やモニタリングの話やどのテストを適用すればいいかのチャートなども載ってる。教科書的なテストに関するトピックは一通り広く浅く学べる印象。

この本を執筆したのはテスト専門の会社の人達らしい。会社が気になってオープンワークで調べたら評価低かった(どうでもいい余談)。

 

 

 

2023年4月に読み終わった本のリスト

4月は特に企業に紐づいた著書をたくさん読んだ気がする。

 

基準:

  • 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
  • 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義

 

昨月の記事:

2arctan-1.hatenablog.com

 

目次:

 

謎解き音響学

音響学の内容が短いトピックに分けられて、初学者にもわかりやすいように解説されている。人間の耳はどうやって音を聞き取っているか、音の高さや大きさはどう決まるか、どう伝わるかなどの基礎的な話から、音を制御するためにはどうすればよいか、どう評価を実施するか、騒音対策に至るまで一通り書かれている。

物理的な話はまあそんなもんだろうな〜と思いながら読んでたけど、人間の感覚に基づく法則などの感応的な話は結構面白くサッと読めた。

 

 

田宮模型の仕事

ミニ四駆、模型などでお馴染みのTAMIYAこと田宮模型がどのように成り立って今に至ったかが書かれている。かなり面白く、TAMIYAのプロの仕事が感じられて読み応えがあった。

田宮模型は筆者の父が創業した静岡に多数ある模型屋さんの一角だが、木材工場を自分で持っていたが故に木製模型の廃りからプラモデルに乗り遅れる、工場が火災で全焼するなどトラブルが相次ぎ倒産の瀬戸際の中を潜り抜けた筆者の苦労が伝わる。筆者は大学時代から父の会社の客先に取り立てに行ったり、手探りで木製模型のプロト作製やプラモデルの金型設計のノウハウを導入したりとめちゃくちゃ若い頃から色々やっててシンプルに超すごい。後述する三洋電機井植敏氏もそうだが、父親が社長で創立してそれほど経ってない会社で働くのはとても大変で同時に様々な経験を積めるのだなぁと。

1からプラモデル事業を立ち上げる苦労話、プラモデルを精巧に作るための世界各地への取材、F1のホビーを本田宗一郎に褒められた話、そして大ヒットのミニ四駆の生誕秘話など文庫本サイズの中にぎっしりTAMIYAの凄さが詰まってる。

 

 

 

三洋電機よ、永遠なれ!

三洋電機の元会長であり創業者井植歳男の息子である井植敏氏がジャーナリスト片山氏と対談形式で三洋電機の来歴やパナソニック子会社化以降の展望などをかなり赤裸々に語っている。

井植敏氏は良くも悪くも関西の昔気質のおっちゃんという感じの語り口で、思い切り序章で後継者の指名の人選ミスを明言していたり後継者が自分の意見を聞きに来ないことに暗に苦言を言っていたりと中々ぶっちゃけている。また、中韓などへの技術流出に関しての意見はかなりガードが緩い印象を受ける。(父敏男も商売敵である松下幸之助二次電池の企業秘密盛り沢山の工場を見せたエピソードがあり、この影響もあるのかもしれない)

松下電器から独立して自転車ライト事業から始まった三洋電機の歴史についてはまあ調べれば出てくるような話なんだけど、父の急逝後の淡路島でのフェリー会社の清算の話やテレビ事業に関する米企業との交渉や販路確保、石油ストーブや太陽電池事業で相次いだ不祥事の火消しなどの苦労話はおもろかった。

 

 

 

広告をナメたらアカンよ。

コピーライターの筆者が、様々な広告のコピーを題材に、その時代の背景やメッセージ性などについて論を展開する。そのコピーに携わった関係者による話もトピックごとに盛り込まれており、短い1文の向こう側にある思想や時代や社会を感じられる1冊。

広告は生物であり、消費期限がある。

広告はその時/その場/その時代の人/社会/文化が作るものである。

あたりの発言が本書のベースであると思われる。

この観点を持って日常で触れる広告を見ていくと毎日が豊かになりそうな気がした。

 

 

 

「ビル」を街ごとプロデュース---プロパティマネジメントが ビルに力を与える

三菱地所グループ三菱地所プロパティマネジメントの会社PR本。

三菱地所プロパティマネジメントは、三菱地所グループ内外の不動産の管理、メンテナンスだけでなく周辺地域も含めたプロモーションも手がけておりこのノウハウが同業他社にはない強みらしい。

東北大震災時の対応、横浜ランドマークタワー周辺開発、丸の内再開発、イルミネーションの展開などの事例が各章で紹介されており、ただ単に所有する不動産を維持管理するだけでなく、中長期的に価値を高めるようにテナントやビル所有者、利用客を含めて総合的なマネジメントを行っている!ということが本書では強調されている。また、PR本の側面からか在籍社員の話と写真も多数載っている。

この本でいちばん面白かったのは、三菱地所グループは丸の内以外の担当区域のことを『丸の外』と呼んでること。

 

 

 

ソフトウェア・グラフィティ

日本で三番目の独立系ソフトウェアハウスであるSRAの成り立ちや歴史を創業者のひとりである岸田孝一氏が振り返り書き起こしているのが全体の2/3、残りの1/3はSRA在籍の社員によるソフトウェア関連や事業に関するお話。

岸田孝一氏は芸術に造形が深いようで、直木賞でいい所まで行った〜学生時代に携わった同人サークルにいた人が作家になり〜など語り口が若干鼻につくがまあすごい。ともあれ、計算機としてのコンピュータが普及し日本にプログラマという職業が起こる黎明期の話が語られており、このような話を当事者の視点で読めるのはかなり貴重だと思う。パンチングカード時代のデバッグの話とかかなり面白かった。

後半の会社に関するトピックはなんと言うか、会社のパンフレットとかに載ってそうな内容。

 

 

 

ハードウェア・ハッカー~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険

ハードウェアベンチャーに何社も携わってきた著者による、中国深圳の工場の話、ハードウェアのハッキングの話、ベンチャー設立の話、オープンソースの話など広範なトピックが網羅された1冊。

特筆すべきがどのトピックの話もめっちゃ面白いということである。中国のベンダーから仕入れて不具合のあったSDカードをバラして模造品のカラクリを調べたり、法律に触れないようにオシロスコープによる信号解析をやパッケージを溶かして顕微鏡で回路観察、果てはウイルスのDNAコードを解析してハッキングするツールの話まで、技術面のトピックは文句無しに面白い。

それだけでなく筆者が携わった3つのベンチャーを中心とするハードウェアでベンチャーをどう成長させていくかの話、『安く』製品を作るためには欠かせない中国深圳の工場の製造現場での苦労話や交渉術、そしてBOMやハードウェアの設計図などの情報がガンガン違法で上がりまくり、安値で模造品が作られまくる山寨(Shanzhai)文化とそれによるイノベーションの話など、ものづくりにアンテナを少しでも張ってる人間ならワクワクするトピックが目白押し。

メーカーに入った社員の人とか、工学部とかに在籍する学生は特に読むべき1冊だと思う。おすすめ。

 

 

 

 

漫才『怖い話の効果音』

本編

A「この前、夜仕事の帰りにめちゃくちゃ怖い体験をしてさ。それを聞いて欲しいんだけど」

 

B「え、マジで?俺怖い話大好きやわ。聞かせて聞かせて!」

 


A「その日は仕事が珍しく長引いて、終電で帰る羽目になったのよ。もう日付も変わっちゃってて、駅降りても人っ子一人いない状態で。」


B「怖いなー。住み慣れた街で誰もいない真夜中だと不気味やもんね。」

 

A「それでまあ、1人駅からアパートに向かって歩いてたんだけど。なんか違和感を感じたんよね。」

 

B「違和感?」

 


A「そう、誰かに見られてるような……つけられてるような……。で、振り返って背後を確認してみたんやけど誰もおらんねん。で、まあ気のせいかって思って歩くんやけどやっぱり見られてる感じがするし、どんどん気配が近づいてきてる感じがして、でも振り返っても誰もいなくて」

 

B「うん」

 


A「で、怖くなって早く帰ろうと走るねんけど背後の気配もピッタリあとを着いてきて、それで汗だくになりながら走って、いよいよ背後の気配に追いつかれるってところで振り返ったら________」

 

 

 

B「振り返ったら!?」

 


A「ハッ、ハッ、ハッ……

って呼吸してる野良犬が電柱の影から出てきて。

俺すっかり安心して、「なんだ犬か〜〜〜」って。深くため息ついてもうて。ところがよ!」

 


B「ところが!?」

 


A「その犬が突然ウーーーーーって険しい顔をして唸り出したかと思うと突然口を開けて、

 

 

 

 


ヴォウッ!ヴォウヴォウヴォウッ!!ヴォウッ!!

 

 

 

 


って、けたたましく鳴き出してん。」

 

 

 

 

 

 

B「…………え!?

 

……カスタムロボV2のロウガガン!?

 


A「犬と俺との距離はだいたい10m位で、犬はその位置からこっちを睨んでヴォウヴォウ!ヴォウッ!ってそれらもう凄い迫力で吠えてきて。

その時俺は直感的に、この犬に近づかれたらやばいって思ったんよ。」


B「そらロウガガン当たったらダメージ大きいからね。連射性能高いから何回もダメージ受けるし。」

 


A「それで俺は必死で逃げたわけよ。すると背後から犬の鳴き声と追いかける足音が、

 


ポン!ポンポンポンポンポポポポポ……ヴォウッ!ヴォウヴォウヴォウッ!!ヴォウッ!!

 


って聞こえてきて。しかも振り返る度にどんどんこっちに迫ってきててめちゃくちゃ足速いわけよ。」

 


B「え、その犬、リトルスプリンター型なん???

リトルスプリンター型でなければありえない足音の軽さと密度やったぞ?」

 

A「で、このままやと追いつかれるって思ったから一か八か曲がり角を曲がってすぐさま電柱に隠れてん。壁を背にして、息を押し殺して物音を立てないようにして……。

そしたらポンポンポンポンポポポポポ……って、犬の足音がものすごいスピードで遠のいて行ったんよ。どうやらやり過ごせたみたいで。」

 


B「良かったやん。見つかってたらロウガガンでハメ殺されてたやろうな。」

 


A「一安心して、クタクタになった足を引きずりながら歩いてたら急に空が曇りだして、雨が降ってきたんよね。で、傘もってなくて。」

 


B「それは災難やね。」

 


A「それで雨が、

 


ピョンピョンピョンピョン……ズッズッズッズッ

 


ピョンピョンピョンピョン……ズッズッズッズッ

 


ってアスファルトを穿ってるわけよ。さっきまで晴れてたのに急に変やなー……って思って。」

 


B「え、ちょっと待って……

 

お前の言うてる雨の音、レイフォールガンやない?」

 


A「で、雨が一粒当たったんやけどこれがめちゃくちゃ痛くて、そのまま立て続けに何発も当たって痛さのあまりダウンしてまうて。」

 


B「レイフォールガン何発も喰らってダウンしてるやん!」

 


A「それで「この雨は当たったら絶対やばい!」って思って目を凝らして雨の軌道を見てんやけどどうやらその雨は俺を追尾してくるらしくて、」

 


B「レイフォールガンやん!」

 


A「で、空の向こうになんか飛び上がっている人影が見えてどうやらそこから雨が飛んできてるみたいやねんな


その人のところから周期的にこう、

 


ピョンピョンピョンピョンピョンピョン……ズッズッズッズッズッズッ

ピョンピョンピョンピョンピョンピョン……ズッズッズッズッズッズッ

 

って」

 


B「レイフォールガンや……ってあれ?」

 


A「で、その雨、よく見たら恐ろしいことに……血の色をしてて」

 


B「ミナモガンやった!」

 


A「雨が6滴ずつ、こちらに向かって飛んでくるんよね」

 


B「ミナモガンや!6発やから絶対ミナモガンや!」

 


A「で、走り回ったり飛んだりしてその雨を必死に避けながら逃げ回っててん。で、しばらくして雨が止んだな……と思ったら、遠くの人影が急に飛び上がって一気に距離を詰めてきてん!」

 


B「ええ、まじか!」

 


A「その人影は水色の髪をした女性で、足元には黄緑色の靴履いてて!」

 


B「バネッサワイドジャンプレッグ履いてるやん!セクシースタンナー型のバネッサがワイドジャンプレッグ履いてたらそら一瞬で距離詰まるやろ!」

 


A「なんか逃げようと思ったんやけど、なんかちょうど勾配が急な坂道で、坂道の上の方から撃ってくるから余計に避けづらくて」

 


B「ミナモと対戦する時に出てくる滝のステージやん!上からジャンプして永遠にミナモガン撃ってくるやつやん!

ちょっと待って、お前これどうやって切り抜けたん?」

 


A「あー、なんか雨が6滴撃ち終わった後の隙を見て、無我夢中でその女にこう、まっすぐタックルして突き飛ばしてそのまま逃げて帰ってきて、事なきを得たわ。」

 

 

 

B「……いや、お前のタックルの仕方メタルベアーなんかい!

もうええわ!」

 

 

 

 

 

 

注釈など

M-1とかでは絶対やらない

カスタムロボV2の知識がないと全ボケ意味がわからない

 

 

ロウガガン

 

 

バネッサ

 

メタルベアー

 

2023年3月に読み終わった本リスト

3月は猛烈に仕事が忙しかったので、4冊。

伊藤忠の本の量がかなりあったのもありますが……。

 

基準:

  • 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
  • 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義

 

昨月の記事:

2arctan-1.hatenablog.com

 

目次:

 

西成で生きる この街に生きる14人の素顔

西成を中心に生活や活動をしている様々な業種の人たちのインタビューをもとに作られたルポ。労働者の手配師、ドヤの管理人、介護事業者、NPO法人などのライフラインを支えている人から中国人系不動産社長、泥棒市の売人、元暴力団組長、教会の神父まで幅広いメンツになっている。
西成という街は危険でダークなイメージがあり、それは様々な人のインタビュー事情からもまあその通りだったがそれ以上に寄る辺のない高齢者の集まりであり、あくどい事業者と(少なくとも)善意を持って西成を支えていこうとしている事業者のせめぎ合いであることがわかる。

 

 

伊藤忠――財閥系を超えた最強商人

近場のでかい書店の注目コーナーに置いてあり気になったので購入してみた。初代伊藤忠兵衛の繊維卸売業から始まった160年余りの伊藤忠の歴史を「他商社、日本全体の時代」も例に出して比較しながら俯瞰できる一冊で、読むのに労力はいるがその分得られるものも多い。

経営者個人としての説明が特に分厚いのは二代目伊藤忠兵衛と岡藤正広。日露戦争第二次世界大戦終戦までの繊維商社から総合商社に成長していくまでの経緯を二代目忠兵衛、伊藤忠は今後どのような方針・事業を進めていくのかが岡藤の取り組みを中心に数章にまたがって書かれている。その他、高度経済成長期やオイルショックなどの事象を通じて伊藤忠が伸ばし始めた事業のトピックも充実。

総合商社そのものに興味がある人はもちろん、商社の事業はたいてい日本産業の動向に直結しているので、色んな人が読む価値がある本だと思う。クソ情報量は多いけど……。

 

 

 

超精密マシンに挑む: ステッパー開発物語

ニコンでステッパー(厳密ではないかもしれないが、要するに半導体露光装置のこと)を開発し社長も務めた吉田庄一郎氏のいわば自伝のような一冊である。ニコンの傍流部門で燻っていた著者がステッパーの国内初製品化に成功し花開いた話と、著者が晩年社長となった時に実施した会社の事業部の再編成、人員整理、特許論争あたりの世知辛いエピソードも書かれている。昭和のメーカーのイケイケドンドンで奔放な開発・製造現場のエピソードが色々あって「ものづくりって楽しそう!」とこのエピソードだけ見た中高生等は思うかもしれない。

著者の日本光学に入るまでのエピソードが壮絶で、父の営んでいた数万人規模の時計会社が破産した、戦時中疎開のための電車が出発した一時間後に東京を大空襲が襲ってギリ命拾いした、などニコン本編のエピソードを食うくらいのインパクトがある。

著者はステッパー開発前は元々大型天体望遠鏡の設計に従事していたのだが、数年かけて完成した大型望遠鏡を嫁に見せびらかすために新婚旅行ついでに岡山の天体観測所まで連れて行ったという理系オタク丸出しのエピソードが個人的にめっちゃすきだった。

 

 

京大変人講座―――常識を飛び越えると、何かが見えてくる

京都大学に対して世間が持つ(と言われている)変人さを押し出して、一見役に立たないような変な研究をまじめに解説するのが趣旨と思われる一冊。

冒頭の山極元京大学長と越前屋俵太の対談で「東大は官僚養成を目的で作られた大学である一方京大は研究者を育成するべく欧米の自由な校風を参考に生まれた大学であり~」などとイキっているが、個々の章はそれぞれの教員の普通の研究紹介である。多分東大でも別の大学でもこんなちょっと変わった研究してる人沢山いるだろうと思うし、紹介を行う研究者自身の人となりやエピソードはほぼ掘り下げられないので『変人講座』というより『変な研究紹介』なのでは?と思った。

各章の内容に関してみると、山内裕教授の高級寿司屋の大将は不愛想なのになぜ繁盛するのか?という問いから始まるサービス関連の研究の話が特に面白かった。一方、宇宙物理学とかカオスとかリスク関連の研究トピックはいろんな本で見たことがあったので個人的には目新しさがなかった。まあ語り口が平易で読みやすいので、科学系の本読んだことない人は楽しめるはず。