孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

キングオブコント2019を改めて視聴してみたゆる~い感想

前回の記事はコチラ。

 

 

2arctan-1.hatenablog.com

 

 

いよいよキングオブコントの振り返りも残り2年となりました。

令和初のキングオブコントとなる2019年はとにかくどぶろっくの年だったという印象です。もちろん面白い芸人は沢山いましたが、あまりにもどぶろっくの歌ネタがハマってそのまま押し切って優勝するという快挙を成し遂げました。

この年から、うるとらブギーズ空気階段など今まで準決勝止まりだった若い実力派芸人が次々登場します。そしてその流れが2021年まで続いているといった印象です。そういった意味でこの年はちょうど代替わりのようなメンツだったのではないかなと思います。

 

tver.jp

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目次:

 

 

全体の感想

前年度に引き続いて出場者はオールシークレットでネタ時間は5分でファイナルは3組。司会アシスタントは俺たちの元乙女新党葵わかなです。かわいいね。

どぶろっくの印象がとても強い年ですが、この年は同得点が多く、ファイナルステージ進出のボーダーである3位も同点でした。久々に決勝に上がったジャルジャルGAGとの3位争いがアツかったです(GAGの2本目見たかった……)。

この年からは前年度のハナコの優勝を経て、第7世代と呼ばれる芸人(あるいはそれに準ずる若手芸人)がどんどん決勝進出するようになりました。その世代がある程度芸歴を重なってネタが仕上がってきたことが大きいとは思いますが。

改めて見返してみると、やっぱりどぶろっくはとても面白かったですがうるとらブギーズが2本ともとても質の高いコントでこれで準優勝なのかと驚かされます。トータルで見ると、笑いどころが多いわけではないですがかが屋の切ないコントに胸を掴まれましたね。2年前で記憶に新しいとはいえ、見直してみると色々発見のあった年でした。

 

 

1本目

うるとらブギーズ

ネタは『催眠術師』。点数は462点。初出場。

トップバッターでかなりのウケを取って高得点を収めたネタです。催眠術師の言うことにピッタリ合わせて復唱してしまう樫本さんの不信感が面白いです。二人の息がぴったり合わないと面白くならないネタで技術力と練習量を感じます。二人以外の登場人物の声が樫本越しで反映されたり、勢い余って催眠術師が言っていないことを言ってしまったりといったところが非常に面白くテンポが良いです。

多分どの順番で出てきても高い点が付いたネタだと思います。うるとらブギーズがトップバッターでこのネタをやったことで今大会は全体的にロースコアの闘いになっていきました。

 

 

ネルソンズ

ネタは『マネージャーの噂』。点数は446点。初出場。

おもしろ荘や日曜チャップリンなどテレビに結果を残していた実力派トリオが初進出です。口の軽い和田の自業自得っぷりと逆切れ時のふてぶてしさが非常に愉快で面白いです。トリオで1ボケでのパワフルなキャラクターは往年の鬼ヶ島のネタっぽさを感じます。途中の「バスケやりたかったんです……」の唐突感とか、出たり入ったりの下りが多くて3人での絡みが少なかったところがちょっと物足りなさを感じたところでしょうか。

 

 

空気階段

ネタは『タクシー』。点数は438点。初出場。

最初はもぐらの変なタクシー運転手のボケで行くのかと思ったら、客のかたまりが入れ替わった辺りから徐々に歯車がかみ合って面白くなってくるネタです。最後の方の同じ顔のやつが3人いるところなどのワクワク感がかなり好きですが、笑うポイント自体はあまり多くないので1個当たりの火力を求めてしまうところがありました。

この年かたまりは彼女持ちの状態で、その後結婚、そして9か月後に離婚と目まぐるしく動いているところが面白いです。空気階段うるとらブギーズと共にこの年から3年連続で出場する実力派で、両者ともにキャラクターが強く年々面白くなってきてるので今年は特に期待ですね!

 

 

ビスケットブラザーズ

ネタは『全て思い出した』。点数は446点。初出場。

2人のビジュアルからは想像もできないくらいとてもメルヘンなネタです。知らない街で出会った記憶喪失の変な2人が実は愛を誓い合ったカップルでタトゥーと指輪をきっかけに思い出しBGMと共に語りが始まるという、ボケツッコミの区分があまりないネタです。ピアノアレンジのモザイクカケラという音楽のチョイスがなかなか良くて、交互に言葉を交わす様がユーモアとロマンチックが混じった絶妙な味になっています。

初めて見た時はビスケットブラザーズの存在を知らなくて、このネタをきっかけに色々見ることになるのですが、原田の強烈なキャラに対してきんの高音で困惑するツッコミがかなり好きなので、次回決勝に上がった時はその形のコントも見てみたいなと思います。

 

 

ジャルジャル

ネタは『離れたら英語に聞こえる奴』。点数は点。2010年ぶり3回目。

M-1ラストイヤーを終えてジャルジャルキングオブコントに帰ってきました。一定の距離から聞こえる言語が変わるっていう仕組みが分かったところからのやりとりとシステムが面白いです。めちゃくちゃ跳ねるネタではないですけど、最初から最後までずっと面白いのがすごいです。

VTRの麒麟川島のコメント通り、ジャルジャルは年数の経過とともに、奇抜な発想はそのままに尖った部分が丸くなってより面白いネタになってきたなという感じでしたね。

 

 

【どぶろっく】

ネタは『大きなイチモツをください』。点数は480点。初出場。

とにかくめっちゃ面白いですキングオブコントという正統派のコントが集う大会で、長年やってきた直球下ネタの歌ネタで貫き通したどぶろっくの姿はカッコいいです。「大きなイチモツをください!大きなイチモツをください!」というフレーズがとにかく耳に残ります。途中の転調である神様の説得のバラードから、むりやり大きなイチモツをくださいに引っ張り戻すところは最高です。圧倒的歌唱力と演劇のような構成に対しての直球下ネタの落差に、思わず正統派女優の葵わかなも笑っちゃう凄まじいパワーでした。本人たちもネタ枠のつもりだったとは思いますが、あまりにもパワフルすぎてそのまま最後まで持っていってしまいました。

このネタ、2018年の歌ネタ王でもやったネタなんですがその時は敗退しています。つまり、メンバーは実質キングオブコント王者ですね

 

 

かが屋

ネタは『閉店』。点数は446点。初出場。

ネタの内容としては、2019年で一番好きです。蛍の光のBGMを背景に閉店時間の喫茶店で開幕の花束を持った賀屋の絶望の表情が提示されて、時間を巻き戻して、徐々にその理由が明らかになっていくという本当にドラマのような構成です。5分でここまで心をギュッとなるネタができることが凄いと思います。回想の切ないドラマをフリに、時々閉店時間に戻った時の賀屋の表情で笑いを誘います。派手な笑いどころはありませんが切ないまま過ぎ去っていく形がそのままこのコントの味ではないかと思います。

どぶろっくの後でもろに食われてしまった感じがありますが、このコントの物語性が私はとても好みでした。

 

 

GAG

ネタは『お笑い芸人の彼女』。点数は457点。3年連続3回目。

3年目にして1番跳ねたネタです。過去2大会ではあまりハマっていなかった福井のねっとりしたツッコミが刺さりまくっていますし、過去より設定がわかりやすく面白くなるまでが早くなっています。「お笑いって異常な世界やな……」という噛み締めるかのような福井のツッコミがめちゃくちゃ面白いです。

ジャルジャルと同点で決選投票により敗退になってしまいましたが、この年のGAGはとてもノッていたので、2本目が見たかったです……。

 

 

ゾフィー

ネタは『腹話術師の謝罪会見』。点数は452点。2年ぶり回目。

不倫をした腹話術師が謝罪会見に出てくるという設定がかなり面白いです。人形のフクちゃんをとても効果的に使っています。サイトウナオキの記者の役が風貌的にとてもハマっていたのですが、シンプルなツッコミ役に留まっており、もっと内容に絡んでいたらどうなったのかを見てみたいです。松ちゃんのコメントであったカメラワークに助けられている部分があるという視点は全く気付かず、なるほど……と納得してしまいます。

 

 

わらふぢなるお

ネタは『バンジージャンプ』。点数は438点。3年連続3回目。

命の扱いが軽いバンジージャンプのスタッフと客の掛け合いがポップで面白いです。掴みも早く終始テンポが良くて面白いのですが、最後という順番だと少し印象が薄くなってしまいましたね。去年の空質問のネタのようなインパクトをやっぱり求めてしまうところはありました。

改めて見返してみるとわらふぢなるおは3回の出場でトップとアンカーを経験していて、非常にくじ運が悪いコンビですね。番組進行の関係でファイナルステージに突入してもずっとい続けたのが面白かったです。

 

 

 

2本目

ジャルジャル

ネタは『空き巣』。点数は448点。

最後までは空き巣に入ったら普通に人がいて、何とか同級生のフリをしたら勘が当たって何とかなっちゃうというシンプルなコントです。非常に難解で解釈が分かれるオチだと思います。改めて見返してみると、あまりにも途中から福徳側の反応が都合よく行き過ぎて、卒業アルバムを見せている辺りのところなどは明確なホラー演出のようにも見えなくもありません。最初に見た時には突然すぎてキョトンとしてしまうオチですが、二度見ると端々の台詞に伏線のような材料は転がっていて色々考察のしようがあると思います。ただ、一発勝負の場でこのコントをチョイスするのはかなり攻めていると思います。

私はオチの意味は考えても全然わかりませんでした

 

 

うるとらブギーズ

ネタは『サッカーの解説席』。点数は463点。

1本目よりもシンプルなネタで、こちらもとても面白いです。実況と解説がどうでもいい話で盛り上がっている間にゴールシーンやキックオフをことごとく見逃してしまうという展開がとても面白いです。実況や解説の流暢さや、くだらない話の広がり方にリアリティがある分余計に面白さが増しているんだと思います。クオリティが高くて、十分優勝が狙えるネタだったと思います。が、この年はあまりにもどぶろっくが強すぎましたね。

 

 

【どぶろっく】

ネタは『大きなイチモツを授けよう』。点数は455点。

1本目と立場が入れ替わった2番の歌詞のような内容のコントで来ました。歌の内容自体が天丼で、2本目はさらにその1本目の内容をフリにしたクソデカい天丼となっています。これをキングオブコントのファイナルステージで披露するのはとても気持ちいいんだろうなあって羨ましさすら感じました。曲調で何となく察しは着くんですが、「大きなイチモツ」のサビが来た瞬間にめっちゃ笑ってしまいます。歌ネタの良さである「待ってました~!」という快感が存分に発揮されているコントだと思います。

最後の大サビで「大きなイチモツをください!」で終わるところがハッピーエンド感があって気持ちいいです。うるとらブギーズも非常に面白かったですが、この年はどぶろっくの2本合わせた構成勝ちだと思います。

 

 

 

 

 

 

どぶろっくはネタ後のコメントでも「賢者タイム」だとか「涙じゃなくて我慢汁です」など、ブレずに下ネタを貫き続けたところがカッコいいですね。

2017年のにゃんこスターと重なるところはありますが、どぶろっくは1本目でかなり点を稼いで貯金があったところと、1本目をフリにしてさらに2本目が面白くなるようになっていた構成の部分も大きかったのかなと思います。うるとらブギーズは非常に僅差だったのでとても悔しいだろうなと思います。

改めて見ると2019年はどぶろっくが主人公のかなりドラマティックな展開でしたね。準優勝のうるとらブギーズは今年も出場を決めているので、質の高いコントで頑張ってほしいです。

 

それでは、また次回……。