孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

キングオブコント2018を改めて視聴してみたゆる~い感想

前回の記事はコチラ。

 

2arctan-1.hatenablog.com

 

いよいよTVerによるキングオブコント過去大会配信も最終週を迎えました。

今回視聴するのは2018年です。

この年のキングオブコントではハナコが優勝し、M-1グランプリ霜降り明星が優勝してお笑い第7世代の風が吹き込みました。この年をきっかけにどんどん第7世代の芸人が台頭し、テレビで見ない日はない売れっ子への道を駆け上がっていくわけです。

また、ハナコの劇的な優勝の陰で実は後のM-1王者のマヂカルラブリーなども決勝に進出しているところも注目です。

 

 

tver.jp

 

 

目次:

 

 

 

全体の感想

1本目はチョコプラの一人抜けで3位以下はわずか1点差でさらば、ロビンフットが並ぶ超団子状態で6位でも450点台後半というかなり平均点数の高い大会だったと思います。歴代でもっとも競り合った大会ではないでしょうか。そして、優勝したハナコは若手ですが出場者にはザ・ギース、だーりんず、ロビンフッドなどかなり芸歴が長い組が多数出場していたところも特徴です。所謂コント師という感じの出場者が多く、全体的に巧いコントが多かったと思います。

昨年度から変わった大きな点としては、ファイナリストが本番まで完全シークレットになりました。そのため、視聴者も審査員も本番まで誰が決勝に上がったかわかりません。この制度は大不評ですが翌年も続くことになります……。

そして、2本目のネタができるファイナルステージが5組から3組に減りました。それに伴ってネタ時間が5分になりより1本のネタが深いものになりました。この変更は現在まで変わらない制度として、続いています。

その他に言えばオープニングがVTRベースになっており審査員登場時の浜ちゃんのヤジが聞けなくなったのは寂しいところです。日村がスキャンダル直後でそのいじりが沢山ありましたね。そして中継にバイキングとみちょぱ、そしてアナウンサー二人に代わって、元乙女新党朝ドラ女優の葵わかながMCについています。全体的に空気ですが、可愛いので個人的には嬉しいです。

 

 

 

1本目

やさしいズ

ネタは『清掃バイト』。点数は419点。初出場。

タイのゆる~いキャラクターと佐伯の熱の入った演技の対比が魅力のコントです。肩肘張った元会社員を柳のように受け流す清掃バイトの感じはまるで人情系のドラマを見てるかのようです。要所要所の台詞が面白く、大きく笑う感じではないですが思わずクスっとしてしまう世界観があります。見る側が世界観にしっかり入り込んで笑うネタのような気がするので、お客さんがあったまっていないトップバッター向きのネタではなかったところが惜しいですかね。

 

 

マヂカルラブリー

ネタは『傘泥棒』。点数は443点。初出場。

傘をパクられたことに恨みを持つおじさんの能力により延々と傘置き場でタイムリープして同じ展開を繰り返すという日常×SFチックなネタです。タイムリープを繰り返すごとに展開が変わっていく感じがタイムリープっぽくてかなり面白いです。どんどん展開が動いて面白くなってきたころに打ち切りみたいな感じで終わるので5分じゃなくてもっと欲しいなと思ってしまいました。

前年度M-1グランプリ決勝からキングオブコントでも決勝に上がるのはすさまじいし、VTRで東野に「もう漫才では終わり」って茶化されていましたがその2年後漫才で優勝し、今年M-1チャンピオンとして決勝に帰ってきたのがカッコいいですね。

 

 

ハナコ

ネタは『犬』。点数は464点。初出場。

とても分かりやすい設定ですんなり見れますし、岡部扮する犬の人じみたリアクションや表情がいちいち面白いです。とてもうまく擬人化しているなーと思います。秋山と菊田は日常を過ごしているだけで、岡部も犬のリアクションを人としてやっているだけなのですが、それぞれがとても上手いので満足度が高いです。

ネタ全体の半分がすぎるまで菊田が登場しないのも「トリオを活かす」というVTRのフリが利いていていいです。

 

 

さらば青春の光

ネタは『鼓舞する人』。点数は463点。驚異の6回目の出場。

相変わらず種明かしの瞬間にわかる仕組みがとても面白いです。熱く鼓舞していた森田が「じゃあ先生、よろしくお願いします……」と言って教室を出る瞬間が最高です。少ない引き出しが故に、何度も何度も執拗にピラミッドを描く森田の哀愁が溜まりません。僅差での4位でしたが個人的には最終3組には入るクオリティだと思ったので、何とかもう一本が見たかったです。

さらばは今年がラストイヤーということで、今大会以降は出場していません。キングオブコントの一つの歴史が区切られた感じがします。単体では無理でも、ユニット等でもう一度さらば青春の光キングオブコントでみたいです……。

 

 

【だーりんず】

ネタは『居酒屋の会計』。点数は437点。2年ぶり2回目の出場。

先輩がこっそり部下の分の会計も済ませようとしたら、クレカが使えなくてお金が足りないという現実にありそうないい設定です。察しが悪くて口の軽いボケのウザさ加減も先輩のキレ具合も絶妙でかなり好きです。店長の言葉とかがもう少し会場に刺さっていたらまた点数も違ったのではないでしょうか。

このネタは審査員ごとのかなり点数の高低差が激しかったですね。前回大会は童貞のネタで会場が冷えてましたが、今回はそこそこくらいのウケでした。

 

 

【チョコレートプラネット】

ネタは『デスゲーム』。点数は478点。2014年以来3回目の出場。

チョコプラがIKKO、和泉元彌のモノマネで売れ始めてきて勢いづいてきたところでのキングオブコント決勝です。捕らえられているデスゲームの参加者が一向に話を聞かずに喚き続けて主催者がゲームの進行ができずかみ合わない様が面白いです。後半になるにつれて主催者の長田も知らないことが起き出して、最終的に無限ループのようなオチまで綺麗にまとまってるなと思います。かなりウケており、納得の1位通過だと思います。

 

 

GAG

ネタは『居酒屋のバイトの先輩』。点数は437点。2年連続2回目の出場。「少年楽団」が取れました。

GAGのテンポの良さとオーバーなツッコミがとても面白いネタです。居酒屋のエロいお姉さんに翻弄される進学校のダサい高校生二人の対比と福井の持って回った言い回しのツッコミが光ります。設定の説明が気になった前回大会よりも格段にテンポが良くなって会場のウケも増していたと思います。が、そこまで跳ねずに中ほどの点数で敗退してしまいました……。

 

 

わらふぢなるお

ネタは『空質問』。点数は468点。2年連続2回目の出場。

無駄な質問をひたすら繰り返すふぢわらのギリギリの憎たらしさがとてもハマったネタです。口笛なるおのキレ気味のツッコミがより一層憎たらしさを増幅させていますね。かなりウケており、審査員にもハマっていてかなりの高得点が付きました。このネタでかなり手ごたえを感じたのか、この年わらふぢなるおはM-1でも全く同じシステムのネタを漫才で披露しています。

このネタリアルタイムで見た時は全然面白いと思わなかったんですが、3年程度でも空けて改めて見ると面白いですね。多分ふぢわらにイラついちゃった人は面白くないと思うネタだと思います。

 

 

【ロビンフット】

ネタは『彼女の干支』。点数は462点。初出場。

個人的にはかなり好きなネタです。息子が結婚する彼女の干支しかわからず、質問の中でどんどん彼女の推定年齢が上がっていくさまが面白いです。最後に荒井由実さんの曲が流れ、実年齢が確定するところでキチンと盛り上がり切って終わったところもいいです。リアルタイムで見た時かなり笑ったんですが、改めて見てもやはり笑いました。結構ツッコミの圧が強く後半に見ると疲れるので、このネタは前半に来た方が良かったかもしれないです。

 

 

【ザ・ギース】

ネタは『サイコメトリー』。点数は458点。2015年以来3回目の出場。

映像を組み合わせたコントで、意外とキングオブコントではやられていない形式ですね。サイコメトリーによってナイフやストッキングの製造工程がシルシルミシルのように流れてきて面白いです。結構好きなネタで面白いですが、展開に変化がないので終盤に出てくると物足りなさを感じたところはありましたね。

 

 

 

2本目

ハナコ

ネタは『捕まえて』。点数は472点。

甘酸っぱい青春ドラマのような出だしから、ありえないくらい女の子が逃げ続けるという文字通りの疾走感あふれるネタです。途中からダミーの菊田も加わり、山崎まさよしが流れ始めてから一気に伸びた感じがします。審査員コメントは恐らく来年以降を見据えてのモノだったと思いますが、そのまま一気に優勝まで駆け上がりました。チョコプラの14点の差をひっくり返したとても動きのあるネタでした。

 

 

わらふぢなるお

ネタは『超能力』。点数は454点。

チンピラに絡まれたふぢわらが次々微妙な能力を繰り出すけど、一向に役に立たないというコントです。前半で時間をかけて様々な能力を出して後半で組み合わせに入りますが、意外とそこが盛り上がらなくてまた最後のオチも全く関係ない能力が出て終わるので繋がりがあまりなく盛り上がり切らずに終わったという印象です。チョコプラの印象が強いですが、わらふぢなるおの方も1本目と差は結構あった気がします。

 

 

【チョコレートプラネット】

ネタは『意識高い系の棟梁』。点数は440点。

「お前まだそんな道具使ってるのかよ」と等量の長田が色々小道具を出して、それに対して松尾が「意識たけ~!」と驚くんですがそこからのパターンが他にないため後半になってもあまり盛り上がらなかった印象です。と言いつつ、最後のインテルの入れ墨はかなり笑ってしまいました。終わった後のチョコプラの様子やコメントから見ても、厳しいことを理解していたのではないでしょうか。点数が出てる途中に「やばい、やばい」と声が漏れていたところが2015年のロッチを彷彿とさせていいですね。

 

 

 

 

 

 

2本とも強いネタを持っていたハナコが3位をひっくり返して劇的な優勝を遂げました。ネタ的にあまり仕事量のない菊田が終始緊張感のないコメントや優勝後にいち早く号泣するなど、いい味を出していましたね。

ハナコと僅差のさらば、ロビンフッドを見るに『1点の重み』がひしひしと感じられる年でした。この2組がファイナルに行っていたらどうなったか見てみたかったですね……。