孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

キングオブコント2021の感想

目次:

 

 

全体の感想

今大会は歴代最高の大会と呼ばれており、その評判に全く異論の余地がないほど大盛り上がりでレベルの高い大会だったと思います。

制度の変更としては、ユニットの解禁(それに伴い参加組数も3000組超えだったらしい)があって大盛り上がりしましたが結果として決勝に上がってきた組にユニットはいませんでした。ガチ審査であることが伺えます。

また、松本人志以外の審査員が歴代キングオブコント王者(かまいたち山内、ロバート秋山、バイきんぐ小峠、東京03飯塚)に一新されてフレッシュかつ現役目線の審査がとても見ごたえがありました。

今大会の特徴としては、審査員ごとの評価が非常に割れていたということです。10組全員が完成度の高いコントでウケていて、なおかつ高得点レースとなっていたため審査員ごとの重要視するポイントが如実に表れた形でしょうか。

それらを踏まえて、歴代最高得点を叩き出し圧倒的な強さで優勝した空気階段は見事でした!全組それぞれが輝いていたとてもいい大会だったと思います。

それでは感想に移っていきたいと思います。

当たり前ですけど、ネタバレを含んでいるので見てない方はご注意ください!TVerのリンクは下記です。

 

tver.jp

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1本目

蛙亭

 

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ネタは『実験体No.164』。点数は461点。初出場。

推し芸人が、まさかのトップ……。

中野のキモさが最初からトップギアすぎます!良い意味でトップバッターにまっっっったく向いてないネタだったと思います。緑の液体を164が吐き出した時は会場中に悲鳴が上がりましたが、そこからひたすらキモい路線で走っていくのかと思いきや、会話を交わすうちに実に164が素直ないいやつであることが分かってきて、それに伴って段々生みの親である研究者の岩倉に母性が芽生え始める過程にドラマ性があります。最後は164がカッコいい行為をして、岩倉が164の存在を受け入れるという展開もとても良かったです。164の印象の移り変わりと、岩倉の心情の移り変わりがエッジになって最後まで飽きずに惹き付けられましたね。

私は蛙亭のファンなだけにトップじゃなければ……と思ってしまいますが、会場の火付け役になったとても良いネタでした!

 

 

ジェラードン

 

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ネタは『角刈りガール』。点数は462点。初出場。

西本のセーラー服姿、あまりにも似合ってなさすぎて、一周回って似合ってます。角刈り女子高生のえりなはビジュアル以外は胸焼けするような少女漫画ヒロインって感じで、しゅうじも顔以外は俺様系王子キャラって感じでとにかくキャラで最後までめちゃくちゃ笑える腕力がありました。ビジュアル以外の所作の徹底ぶりがより一層ビジュアルの面白さを掻き立てています。傍から見たキツさを海野がシニカルに突っ込むところと、最後の愛想を尽かして頭をはたいて去っていくオチも良かったです。個人的な好みとしては、海野がずっと傍観者だったのであの強烈な2人にもう少し巻き込まれて欲しかったなという気持ちはありました。

 

 

男性ブランコ

 

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ネタは『ボトルメール』。点数は472点。初出場。

ボトルメールを通じて出会った女性がめちゃくちゃ酒焼けしててコテコテの関西弁の女だったという始まりです。最初に女性のキャラクターが分かるだけの会話を挟んで、スポットライトが当たっての涌井の「いや~~好きだな~~」の独白からぐっっっと伸びましたね!そのまま涌井の愛の高まりに比例してどんどん面白くなっていきます。終盤、実は女性像が涌井の妄想で、本当の女性はどんな人かと思ったら全く妄想通りで大喜びで終わるという裏切りの裏切りみたいな終わり方をバッチリ決めています。スポットライト演出や構成、仕掛けなどの技巧面の凄さをいやらしくなく見せつけて、オチまで爽やかでたぶん万人が好きになるネタだったと思います。

 

 

うるとらブギーズ

 

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ネタは『迷子センター』。460点。3年連続3回目。

迷子センターに駆け込んだ父親から語られる佐々木丁菱(ていびし)くんの変な特徴が山のように溢れて前半の情報量がすごいです。前半の展開で大丈夫かな?と思ったんですが、後半父親の話した情報を整理して館内放送のくだりで思わず笑ってしまうところで面白くなっていきます。笑いをこらえての声の裏返り具合とか声を押し殺す感じとか、父親とのわちゃわちゃ下掛け合いが絶妙に笑いを誘います。うるとらブギーズってじゃれ合いの雰囲気から面白さを醸し出すのがとてもうまいですよね。残念ながら前半3組と僅差で暫定席に残ることはできませんでした。

 

 

ニッポンの社長

 

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ネタは『バッティングセンター』。点数は463点。2年連続2回目。

ニッポンの社長は去年に引き続いて賞レースでなんでこんなネタを決勝に持ってこれるの!?って圧倒されますね。このネタ、少しでもタイミングとか所作がズレたら面白さがごっそりこそげ落ちるので普通怖くてできないですもんね。最初の笑いが来るまで長いし、明らかにつかみが早い方が有利と言われる賞レースではチョイスしないネタで決勝で上がって高得点を取るというのが凄すぎます。

基本的な笑いどころがケツ扮するおっちゃんがバッティングセンターのボールに当たってるだけなんですが、デッドボールの辺りの演技の上手さとその執拗な繰り返しがあいまってどんどん勝手に面白くなっていって堪らないです。そして最初からこのおっさん何者なんだ……?と思っていたところで最後のケツのバッティングがめちゃくちゃ上手いというオチが利いたと思います。

 

 

【そいつどいつ】

 

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ネタは『パック』。点数は456点。初出場。

終始ホラー仕立てのネタで怖さと面白さの境目を突いてくる感じでした。彼女の所作のタイミングが全て早かったり遅かったりして面白いです。ワイン飲んでるところのタックルからのドタバタ床拭くところとか、電気消してマスクが暗闇で光り出すところとか瞬発的にめっちゃ面白いところがあっていいです。終盤になるにつれて、「怖い」の要素がどんどん濃くなっていき、ホラーに振り切るのかなと思ったんですがそこまでは行ききらない感じで留めていて、勝負ネタだったことが伝わってきます。審査員評価が特に分かれた組でしたね。

 

 

【ニューヨーク】

ネタは『結婚式の予行』。点数は453点。2回目。

こなれた感を出して全然仕事できないズレた奴を皮肉ってるかのようなネタです。嶋佐の段取りから何まで全て違うのに「オッケーです」というところが最初ウザイのに徐々に面白くなっていくのがいいです。最後のセットが崩れてめちゃくちゃな感じはやっぱり笑っちゃいます。ベタ過ぎたとまでは思わなかったですが、ギャンブルのくだりがそんなに相乗効果がなかったところと、面白く感じるまでの時間が少し長かったかなという印象です。結果的には点が伸びず最下位になってしまいましたが、このネタでも最下位というのが今年のレベルの高さを表している気がします。

それにしてもニューヨークは採点後のコメントが本当に毎回面白いですね。敗退が決まった瞬間にスイッチを切り替えて「松本さんのせいや!」と怒り出すのは最高でした。

 

 

【ザ・マミィ】

 

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ネタは『この気持ちはなんだろう』。点数は476点。初出場。

個人的には今大会で一番好みのネタでした。街中にいるヤバいおじさん役の酒井がとてもいい味を出しています。ヤバいおじさんにまともな事を言わせてしまう、素直で偏見がなさすぎる青年との掛け合いが単体でも面白いです。そしてそれに加わってまともなことを言っている中で、どんどんおじさんの心が揺れ動いていく過程がどんどん尻上がりに面白くなっていきます。それだけでもかなり良い設定と最後のミュージカルが突然始まるんですが、そのタイミングも絶妙で凄い好みでした。

 

 

空気階段

 

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ネタは『火事』。点数は486点。3年連続3回目。

圧巻のネタでした。キングオブコント空気階段がやったネタで1番好きです。

火事になったSMクラブを舞台に白ブリーフの男二人が出てくる始まりで、まさかここまでカッコよくなるだなんて思わないじゃないですか!頭にパンストを被った変態丸出しの格好のもぐらが実は消防士で、もう一人の客のかたまりが警察官で、火事の中ブリーフ一丁で次々と避難誘導していく姿がカッコよくギャップがあってめちゃくちゃ面白いです。指名するときの名前だとか、30分延長とか、五反田とか、要所要所でSMの要素がフックになって真剣な状況との落差から面白さが際立ちます。山内の審査員コメント通り、どんどん展開が進んでいくのがとてもいいです。面白さとカッコよさをとても高い水準で両立した、映画のような濃密な5分だったと思います。

 

 

マヂカルラブリー

ネタは『こっくりさん』。点数は455点。2018以来2回目。

こっくりさんが凄い勢いで発動したあとのスピード感が面白いです。野田の巧みな動きと途中で野田が死んだところなど面白さは流石です。指一本のジェスチャーで感情を表すところが凄いです。順番的には10番目で直前に高得点が2組続いたところもあり出揃った感があったので、かなりしんどかったんではないかなと思います。審査員評の吊革とあんまり変わらないというのは、まあたしかにその通りなので何も言えません……。

 

 

 

2本目

男性ブランコ

 

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ネタは『袋』。点数は463点。

前半部分は、山ほど抱えたお菓子が何度もバタバタ落ちて拾い落ちて拾いの様が面白いです。そして服装といい、喋り口調の変な感じとか、松田くんのヤバい人かどうかの境目っぷりが絶妙です。「レジ袋をケチった男の末路です」でちらつかせてましたが後半になるにつれてワードの面白さやレジ袋の小銭の伏線回収が次々と押し寄せてきます。前半のビジュアル的な面白さ、後半のやり取りの面白さを味わいハンバーグカレーを食べたかのような満足感ですね。2本目のネタだと個人的に一番好きなネタでした。

 

 

【ザ・マミィ】

ネタは『ドラマ』。点数は459点。

経緯は分からないけど、対立している社長と社員の半沢直樹的な迫真のやり取りからの「ドラマ〜」というじゃれ合いが面白いです。しかし、繰り返しによってどんどん面白くなっていくっていう感じではなかったところと、最後のオチが読めてしまったところが物足りなさを感じてしまいました。トータル点でまさかの男性ブランコと同点でした。ファイナル同点は驚きですね!

 

 

空気階段

 

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ネタは『メガトンパンチマンカフェ』。点数は474点。

ワンパンマンじゃなくてメガトンパンチマンです。架空のキャラクターのコンセプトカフェをやるという面白い設定で、空気階段の強みが出た強烈なキャラのコントです。元々とても長いコントだったらしいのでそれもあると思いますが、前半の説明部分が長いかなと思いました。ただ、設定や背景が分かったところから貨幣交換のくだりやコーヒーが美味しいところなどとても面白くなっていきます。最後の歌に合わせてのメガトンパンチマン登場はめっちゃ笑ってしまいました。後半の盛り上がりがある、勝ち切れるネタだったと思います。

空気階段、優勝おめでとうございます!

 

 

 

 

総括

キングオブコントは毎年面白いのですが、今年は特に10組全てがとてもウケていたのが印象的でした。なんというか、賞レースとしてのワクワク感が一段階上がったような気がします。唯一不満があるとするならば、敗者コメントが一部本編で拾いきれていなかったところでしょうか。

今大会で一新した要素が全てうまくハマっていて、結果的に凄く盛り上がった大会になったなあと余韻に浸っています。

来年度以降は、賞レースとしてより一層キングオブコントは格式高いものになっていくんじゃないでしょうか。

 

とにかく、来年が楽しみで楽しみで仕方ありませんね!また感想書くかはわかりませんが、来年のキングオブコントも間違いなく視聴すると思います!

 

それでは次はM-1グランプリで……。