孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

キングオブコント2017を改めて視聴してみたゆる~い感想

前回の記事はコチラ。

 

2arctan-1.hatenablog.com

 

いよいよ、折り返し地点を過ぎ、残りのキングオブコントの数が少なくなってきました。そして、着々と10/2に行われるキングオブコント2021決勝が迫ってきています……。

 

さて、2017年はかまいたちが優勝し、彗星の如く現れたにゃんこスターが大インパクトを残す年です。それ以外にもさらば青春の光の復活、以降大会常連となるGAGの初登場、人気ベテラン芸人のアンガールズの参戦などかなりメンツが華やかな年だった印象があります。

この年は全体的にネタがかなり面白かった記憶があるので、楽しみに見ていきたいと思います。

 

 

tver.jp

 

 

目次:

 

 

 

全体の感想

昨年の反省を受けてか、審査員登場がかなり簡略化されています。そして、1本目に入るまでの時間が昨年よりかなり早くなっています。歴代のキングオブコントを続けて視聴すると、審査制度など目立ったところ以外もどのように改変があったかよくわかっていいですね。

2017年はにゃんこスターのインパクトが凄く、そしてかまいたちの完成度が凄い年でした。にゃんこスターがあまりにもすべてをかっさらってしまったから、後のコンビがまとめて点数伸びなかった様はある意味残酷とさえ言えます。

2019のどぶろっくのネタなどでも似たような現象が起きましたが、キングオブコントで歌ネタ・リズムネタがハマった時の影響はすさまじいですね。バンビーノも2014年が審査員採点制度だったらダンソンで大会を荒らしに荒らしていたことでしょう。

この年は(当時)事務所フリーや他事務所同士のコンビがいたり、男女コンビが2組もいたり、アンガールズの参戦と歴代の中でも個性豊かなメンツだと思います。そして、混戦模様の中で戦略と実力で勝ち切ったかまいたちは改めてすごいなと思いました。

 

 

 

1本目

わらふぢなるお

ネタは『お客様サポートセンター』。点数は434点。初出場。

わらふぢなるお、2018年の印象が強いんですが2017も決勝行ってたんですね。そして、他事務所所属同士のコンビだったんですね。これは2021年から解禁になったユニットの形態に少し近いところもあり、時代を先取りしていると言えます。てか、こんなに異色の経歴なのになんで覚えてなかったんだろう……。

サポートセンターを今日で辞めるふぢわらが無茶苦茶な対応をやりたい放題やるっていうネタですが、ボケがめちゃくちゃ突飛というわけでもなくなるおのツッコミとの匙加減が良くて見やすいです。積極的にふぢわらがネタ終了後のコメントでボケていますが、あまりハマってない感じが初々しいですね。

 

 

ジャングルポケット

ネタは『エレベーター』。点数は452点。3年連続3回目。

前回6点という僅差での準優勝を経て、かなり期待値が高かったことを覚えています。

急ぎたいのに、エレベーターを挟んで男女が痴話喧嘩を始めてしまい斉藤が全然上にあがれないが……。という始まりだしで、前半部分は斉藤の激しいリアクションが見所ですが、後半になるにつれて衝撃のカミングアウトが連続し、エレベーターを沢山使いだして目まぐるしい動きが入ってとても面白かったです。前年度の内容からさらに成進化を遂げている印象を受けました。

おたけのポンコツ具合がいつの間にか完全にバレてしまってますね。

 

 

かまいたち

ネタは『告白された時の練習』。点数は464点。2年連続出場。

最初の種明かしから一気に心を掴まれて最後まで走り抜けるネタですね。コントだからこそできる掴みで、その後も山内のジェスチャーに対する濱家のツッコミが一々ハマって面白いです。どんどん後半になるにつれて山内のやばさがどんどん浮き彫りになって加速していくところと、安全地帯にいたはずの濱家の領域に山内が侵入してきて境目がわからなくなるのがめちゃくちゃ面白いです。最初から面白いのに最後まで右肩上がりで面白くなるし、様々な技法を効果的に使っていて、かまいたちの勝ちを獲りにいく姿勢がよくわかるすごいネタですね。

かまいたちはお喋りもロケもネタも面白い。後はきっかけのみ」という小藪の言葉通り、このネタをきっかけにスターダムに駆け上がりました。

 

 

アンガールズ

ネタは『ナンパ』。点数は452点。初出場。

かまいたちのウケの後に飲まれず、しっかりアンガールズのカラーに雰囲気を戻してやり切ったのがすごいです。田中と山根の自然体なやり取りがすごくユーモラスで、仲良く喋っているだけですごく面白いです。既に売れているベテランが故の、賞レースに向けてバチバチに仕上げてきたという感じじゃなくて2人の持ち味を存分に出したネタであるが故にすごく異彩を放っていると思います。キングオブコントの過去大会を2012年から連続で見てきましたが、こういうネタは凄く珍しくてとても面白いですね。後半の頑張ってジーパンで服を作るくだりでゲラゲラ笑ってしまいました。

既にテレビで人気者のアンガールズキングオブコントでしっかり決勝に行き、結果を残すのは本当にかっこいいですね。

 

 

パーパー

ネタは『第二ボタン』。点数は421点。初出場。

冴えないオタク学生丸出しの星野の哀愁と非モテ感が漂うネタです。中盤ガッツリ噛んでしまったのが痛い気がします。何となくパーパーって、星野がひたすらあいなぷぅに振り回されるイメージでしたがこのネタだと星野がボケ側なんですね。しかし、あいなぷぅキングオブコント決勝の舞台でも緩い感じでいるのがすごいです。

2他の出場組に比べてパンチがないので賞レースで勝てるタイプではなかった気がしますが、魅力のあるネタでした。

 

 

さらば青春の光

ネタは『頼んでないメニュー』。点数は455点。2015年ぶり5回目最多出場。

ついにさらば青春の光が帰ってきました!長い前振りの中で仕掛けを何となく察してきたところで種明かしをして、そこからどんどん面白くなるというさらばの原点に戻った感じのネタです。メニューをバウンドする店員に翻弄される森田のツッコミが冴え渡りまくってます。過去のネタよりもバウンドからの展開の広がりがあって、より面白くなっているという印象です。オチもヘンにひねってなくてすんなり終わって最後まで面白いです。

さらばは2016年度のキングオブコント2回戦敗退と紹介がありましたが、その年はM-1の決勝に進出しているのが凄いところです。

 

 

にゃんこスター

ネタは『リズムなわとび大会』。点数は466点。初出場。

改めて見ると凄まじいまでにウケて、会場とその後の空気を丸ごと持って行ったとんでもないネタです。歴代でも間違いなくトップクラスに突き抜けて異質なネタだと思います。「なわとび飛ばないの~!?」のくだりはわかっていても笑ってしまう中毒性があります。見ている側の「もっと欲しい!もっとくれ!」っていう欲求に最後まで愉快さを供給し続けたネタだったと思います。そして改めて見ると、そこまで点をつけていないバナナマンと高い点をつけたさまぁ~ず、松ちゃんで綺麗に評価が分かれていますね。

結成5ヶ月、史上初女性最年少ファイナリストで超ダークホースの大袈裟な紹介VTRをさらに超えてくるとても印象的なネタでした。めっちゃ面白い!

 

 

【アキナ】

ネタは『怖いバイトの先輩』。点数は432点。2015年以来3回目の出場。

単体で見たら、なかなか意欲的な新しい構成のネタなんですがにゃんこスターの衝撃を振り切れなかった印象があります。バイトの休憩室で、ふとした瞬間に異質な言動をとる山名が印象的で、そのたびにBGM→暗転で場面が切り替わるのでショートストーリー集のような感じです。あっちは群像劇なんで中身や内容は違いますが、何となくトップリードを思い出しますね。一個一個できっちり場面を切っていて最後に全ストーリーを回収するのかと期待してたらそのまま終わった感じでした。「もっと」が求められるのは辛いですね。

 

 

GAG少年楽団

ネタは『50年ずっと三角関係』。点数は419点。初出場。

この年以降、常連になるGAGの決勝デビューネタです。このネタ、設定がかなり面白いですね。ちょっと序盤の台詞による設定の説明が多すぎる気がしますが、設定が頭に入りだしてからの掛け合いの面白さと福井の低くてねとっとした独特のツッコミがたまりません。2017年はもうにゃんこスター以降『出そろった』感があってあまりウケてなかったですがGAGは前半だったら20点くらいは点数が違っていた気がします。順番の兼ね合いもありますが、少し点数が低すぎる気がしますね。

 

 

ゾフィー

ネタは『晩飯』。点数は422点。初出場。ゾフィーは当時まだフリーです。

プチ炎上したネタですが、この年は印象の強いネタが多くてあまり記憶に残っていなかったですね。母さんが家出したのに対して、ひたすら「飯はどうすんだよ!」という執拗な『飯』1点責めで押すコントです。近年のキングオブコントだと意外とこういうネタは少ないですね。似たネタだとジャルジャルのおばはんのネタとか思い出しますが、あちらと違ってゾフィーのネタはある程度両者のコミュニケーションが成り立っていますね。こういうタイプのネタは、『飯』というワードが最初にハマってウケないと挽回が難しいんじゃないかなと思います。

 

 

 

2本目

アンガールズ

ネタは『嫁の元カレ』。点数は452点。

10年前の嫁の元カレの田中が、ずっとワンチャンを狙って山根をストーカーして敗北を伝えに来るというネタです。こちらは田中の見た目を最大限活かし、アンガールズとしてやれることを出し切った手堅いコントという印象があります。1本目のネタと甲乙つけ難い出来でしたね。

アンガールズはやっぱり面白いし、大会を盛り上げた功労者の一人だと思います。

 

 

ジャングルポケット

ネタは『拷問』。点数は458点。

エレベータの次はロッカーを使ったコントです。ロッカーをめぐる激しい攻防と後半でおたけの「や~め~ろ~」のシステムが明かされるところが見所です。非常に運動量が多く、終わった後に斉藤がめちゃくちゃ息切れしていましたね。個人的には1本目の方が好みですが、2本目もかなり面白いです。ジャンポケのネタは目まぐるしく3人が動いて、話がどんどん進んで笑うポイントが次々出てきてやっぱりいいですね。

 

 

さらば青春の光

ネタは『パワースポットの警備員』。点数は467点。

このネタ、さらば青春の光キングオブコント決勝でやったネタの中で一番好きです

設定がとにかく面白いですし、最も二人の配役がかっちりハマったネタだと思います。滑舌の悪い警備員の森田の喋り口調がすごくツボで、無理して明るくふるまっている前半部分の哀愁が凄く味があります。コントが進む中で警備員の悲しすぎる素性が次々明らかになって、一通り出終わった後にスイッチが入って泣きながらパワースポットの岩にすがりつくところでめちゃくちゃ笑ってしまいます。元々の持ち味だったさらばの設定が明かす瞬間の面白さに、後半の転調による面白さが加わってさらに面白さの伸びがあったのが非常に素晴らしいです。TVerの放送期間終わるまでにもう1回見返します。

 

 

かまいたち

ネタは『ウェットスーツの試着』。点数は478点。

優勝を決めた2本目のネタです。前半である程度時間をかけて設定をなじませて、濱家がウェットスーツを脱がすところから一気に畳みかけて面白くなってきます。山内のツッコミのフレーズがドンピシャでハマってどんどん伸びて面白くなっていきましたね。かまいたちはボケとツッコミが入れ替わったら面白さのジャンルがガラッと変わるのが凄いです。2本目はただ面白いだけじゃなくて、かまいたちの引き出しを見せつけた感じでしたね。

 

 

にゃんこスター

ネタは『リズムフラフープ発表会』。点数は462点。

なわとびがフラフープに、大塚愛さくらんぼがSMILYに変わっただけと言えばそれだけなんですが、あまりにも仕組みが面白過ぎるので1本目の衝撃を引き摺ってどうしても笑ってしまいます。「あれ、この動きを待っている俺がいる!?」という言葉は、そのまま視聴者の声になっています。そう、私たちはにゃんこスターを待っていたんです。にゃんこスターは最初からインパクトを残すことにフォーカスして、1本目と形式を揃えたのは戦略として大ハマりして、その思い切りのよさゆえに爪痕を残し準優勝に至ったんだと思います。

同じような仕組みで、2年後にどぶろっくが優勝するのは興味深いところです。

 

 

 

 

 

振り返ってみると上位5組の内4組は既にある程度の人気があり、テレビでもそれなりに出ている有名な芸人ばかりです。その中で準優勝したにゃんこスターは全体を搔き回し、異彩を放っていましたね。

有名な芸人たちがしっかり面白いネタを披露して勝ち上がり、そしてダークホースのにゃんこスターが躍進するというとても華やかで見ごたえのある面白い年だったと思います。

優勝後のコメントで感極まって何も言えなかった山内の姿はとてもグッとくるものがありました。

 

次回は2018年です。

このくらいになってくると私がこのブログを開設した後の話になってくるので本当に最近って感じがしますね。

 

それではまた!