孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

【2020年】読んで面白かった本トップ5

さてさて。

 

振り返ってみれば、2020年も結構本を読みました。

科学書や歴史書自己啓発本や転職用の本などやkindle読み放題で読んだ軽く読める本などを諸々含めて、なんと年間106冊の本を読んでいたようです。

 

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読書記録にはBibliaというアプリを使ってるのですが、振り返ってみるとコロナの影響で暇で暇で仕方なかった夏頃はめちゃくちゃ本を読んでいてなるほどという感じです。ちなみに読書記録に入れる本は教科書や漫画は除いています。そして、僕はほぼ小説は読まないので基本的にはそれ以外のジャンルの本で埋め尽くされています。

 

 

せっかくこんなに沢山本を読んだので、僕が2020年に読んで特に良かった本を5冊ほど紹介したいと思います。必ずしも2020年に発売した新書ばかりではないので、ものによっては中古とかで安く買えるかもしれません。

2021年の皆さんの読書ライフのお役に立てればと思っております。

 

 

 

目次:

 

 

 

【現代経済学の直観的方法】

 

現代経済学の直観的方法

現代経済学の直観的方法

 

 

 

間違いなく2020年に読んだ本のナンバーワンです。

本書は大きく9章に分かれており、資本主義やインフレ・デフレ、貨幣制度に仮想通貨やブロックチェーンに至るまでの主要なトピックを直観的に理解できるような解説がなされています。

そもそも僕は著者の長沼伸一郎のファンで、特に学生時代に『物理数学の直観的方法』に非常にお世話になった経緯があります。講義や定期試験で匙を投げてしまいがちな難しい学問上の概念を直観的に、イメージしやすく『簡単になりすぎずに』説明してくれる長沼氏の文章は本当に見習いたいなと常日頃から思っています。本書についても著者の他の書籍と同様、難しいトピックをシンプルなモデルで例えて『勘所』をスカッと簡潔に説明する圧倒的な気持ちよさがあります。

本書の解説は、資本主義を鉄道に例えるところから始まります。最初はなんのことかわからず『???』となっていたのが読み進めるうちに「そういうことか〜!」とめちゃくちゃ良く理解できてスッキリする感覚。長沼氏の本の良さはこれなんです。本書を手がかりにすれば、経済学の様々なトピックに関しても自分なりに考察することができるのではないかと思います。

この本は元々半額ポイント還元キャンペーンで電子書籍(kindle)で買ったのですが、読み終わった後にこれは紙媒体で手元に置いておきたいなと思ったので書籍で買い直しました。経済学について考える際のコンパスになるような一冊なので、これから先も折に触れて読み返すことになる一冊だと思います。超オススメです。

 

 

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【諦める力〜勝てないのは努力が足りないからじゃない】

 

 

 

 

元400mハードルの銅メダリストである為末大氏の書いた1冊です。一般的に風潮として悪いこと、ダメなこととされている『諦める』という行為に関して真っ向から反論する1冊です。本書では陸上で花形の100m走から勝てないと判断し諦めて400mハードルにシフトした為末氏の経験に基づいた持論が展開されています。

自分の達成したい目的のために『手段』を諦めることは悪いことではなくむしろ妥当な判断であること、勝てないのは必ずしも努力が足りないからではないこと、努力が苦にならない分野、もっと言えば負けないような分野にシフトすること……本書で為末氏が主張していることはリーズナブルであり、アスリートとしての経験からくるエピソードの説得力もあって腑に落ちます。私は読んでいて肩の荷が降りるようなそんな感覚を得ました。

『何者』かになりたい願望の強い人などが読むと、特に得られるものが多い一冊ではないかと思います。

 

 

 

【世界でもっとも強力な9のアルゴリズム】 

 

 

私は一般読者に向けた内容がある程度わかりやすく書かれている科学書が好きで普段から割とよく読んでいます。そのジャンルで今年読んだ中で一番ためになったのはこの本だと思います。

本書は現代の様々な分野で使用され活躍しているアルゴリズムに焦点を当てた1冊となっています。ウェブ検索や情報通信の誤り訂正、データベース、暗号化、ニューラルネットワークなど……9つのトピックを読み終える頃には、普段私たちが何気なく使っている情報機器やサービスには、過去の偉人が考え出した天才的な工夫がぎっしりと詰まっていることに気付かされるでしょう。

アルゴリズムというとなんだか難しそうに聞こえますが、本書は数学などがさっぱりな読者を想定して書かれているので、説明は明快で易しく要点を掴みやすいと思います。特に共通鍵暗号方式に関するトピックで登場した絵具を使った説明はめちゃくちゃわかりやすくて、「こういう風に説明すれば一般の人に難しいトピックを分かってもらえるんだなあ」と非常に参考になりました。ITがちんぷんかんぷんで身の回りの端末がなぜ動いてるかわからない、そんな人が読むと少しはスッキリするかもしれません。

 

 

 

【女装と日本人】

 

 

女装と日本人 (講談社現代新書)

女装と日本人 (講談社現代新書)

  • 作者:三橋 順子
  • 発売日: 2008/09/19
  • メディア: 新書
 

 

 

 日本の女装に関する文化や歴史などについて書かれた一般書です。近年ではLGBTという言葉が一般的に普及し、性的マイノリティに関する議論が盛んになってきていますが、本書はそんな現在から十年以上も前の2008年に出されている一冊です。2008年の段階でこれだけ日本の歴史・文化における女装者(マイノリティ)の役割や立場についてしっかり書かれた本があったことにびっくりしました。

 本書を通して感じることとして、日本人は非常に古くから女装に親しんできたということです。遡れば日本書紀ヤマトタケルが女装をする逸話があったり、女人禁制のはずの寺に尼僧の姿をした男性(お察し)がいたり、歌舞伎などの舞踊について女形が重要な役回りをしていたり、日本には元々異性装を受け入れる文化的な土壌が遥か昔から形成されていたとわかります。

本書の著者は文化研究者であると同時に女装家でもあるため、自身の体験や伝聞に基づいた戦後以降の女装界隈のエピソードも豊富に盛り込まれています。そのエピソードなどを読み進めると女装の文化には常に性的な役割がついて回ってきていたのだなぁと何とも言えぬ納得をしてしまいます。教養としてすごく面白い1冊だと思います。

 

 

 

【ルポ中年童貞】

 

ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書)

ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書)

 

 

 

最後に紹介するのは、社会問題となっている中年童貞を取材したルポです。

題材の時点で強烈な内容であることが容易に想像できますが、その予想をさらに一段階上回る異常っぷりに終始度肝を抜かれます。

所謂アニメやアイドルオタクの中年童貞から、高学歴で拗らせて宗教にハマったメンヘラ中年童貞、介護業界で働きトラブルを起こしまくる中年童貞、果ては女性に絶望するあまりにハッテン場に走った中年童貞まで……性というものがいかに人間のあり方に影響を与えるか、えげつないまでに書かれています。

社会の中で上手く人間関係を形成できないまま捻じれて行くところまで行ってしまった中年童貞の生々しく悲しいエピソードを見て笑う人はきっと健常な人間関係を築けている満ち足りた人間なのでしょう。私にはとても他人事とは思えませんでした。

とにかく読み物としてのインパクトがすごいので、なんにせよ読んで損はないと思います。漫画版もありますので、気楽に読みたい方はそちらの方がいいかもしれません。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

いかがでしたか?(NAVERまとめ)

 

以上、2020年に読んだ本トップ5でした。

 

2021年の読書量はどうなるかわかりませんがぼちぼちのペースで色々な本に触れていこうと思います。 ほいで、ブックオフ珍書発掘隊の方もまたボツボツやっていきます(月一くらいの頻度?)。