孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

西成ホルモー

四連休、関西に帰っていた。

就職してからは初の帰省である。

 

その過程で、かの有名な大阪の西成に住む友人がいて、そこを訪ねがてら西成の方をぶらぶらした。

駅でいえば地下鉄の恵美須町〜動物園前駅や、南海の萩ノ茶屋駅付近に相当する区間を散策した。

 

通天閣の根元にどこかレトロな飲み屋などがごちゃごちゃ立ち並ぶ新世界や、動物園前の商店街を抜けた奥にある飛田新地など、昭和の臭いを色濃く残した(というか物理的にも街全体がちょっと臭う)界隈である。

 

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↑新世界のビリケンさんもマスクを装着していた。職業柄不特定多数の人と接触するから仕方ないだろう。

 

上記に挙げたような場所は有名な観光スポットとなっており、常時であれば比較的観光客などで賑わっているし、私自身も行ったことはある。

 

一方で、我々が何となくイメージしている日雇労働者などが集まり、1泊1000円以下の宿泊施設(通称ドヤ)が集まるような『西成』には足を運んだことがない。

というか、具体的にどこにあるか分からないし、その存在を意識したこともなかったと言える。

 

今回はそんなTHE西成とも呼ぶべき萩ノ茶屋周辺を中心に、西成区をウロウロしたのでそれをブログに記す。

 

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待ち合わせは動物園前の大きなドンキホーテ前で。

このドンキホーテは私が大学生の時、ちょうどオープン時に来訪したことがあり個人的に思い入れ深い場所だったりする。

ここから歩いて、西成のディープスポットへと向かっていく。

 

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↑ここが恵美須西と萩ノ茶屋の境目となる高架である。くぐり抜ける前後の空気感の違いに、ドラクエの『橋を渡って急に敵が強くなる』感覚を思い出した。

 

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↑『覚せい剤』という言葉がここまで身近に感じられる街もなかなかないであろう。さすがに昼間から覚せい剤の売人に会うことなどなかったが。

 

 

西成クルーズを行うにあたり、まず最初に日雇い労働者などが集まる名所だという三角公園へと向かうことにした。

道中、萩ノ茶屋付近のドヤ街を彷徨いていて思ったこととしてはめちゃくちゃ人が多い。

 

人が多いといっても、大阪の梅田や難波のような賑やかさとはまた毛並みが違う。様々な出身や国籍の観光客で賑わう梅田や難波界隈と違い、明らかにこの地に根付いたであろう地元住民だけで賑わっているのである。そしてそのほとんどが中高年男性

身なりは様々だが概してカジュアルな服装をしていて、ほぼ上裸みたいな格好で地べたに寝そべって寝ている人もいる。街からは独特の臭いが漂い、全体的に不衛生な印象を受けるかと思えば、そんな街に似つかわしくないような高級車が停まっていたりする。ちぐはぐしていて、一見しただけでは理解することが難しい街だと感じた。

 そして全体的に住民の気性が荒いのか、怒号なのか声を荒らげただけなのか判断がつきにくいレベルのでかい声が時折響いてくる。だが、別に取っ組み合いの喧嘩などは全く見なかったためこういうコミュニケーションなのかもしれない。

 

 

 

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↑西成の平和の塔(正式名称不明)。

 

 

空き缶が積み上がった西成の平和の塔などを通り過ぎつつ、三角公園にたどり着いてワンカップ大関で乾杯した。人肌の温度のお酒が身体に優しく染み込む。

のどかに晴れていた1日だったので、少し飲んだだけで程よく酔っ払ってしまった。

 

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ワンカップ大関は110円也。庶民の強い味方である。

 

三角公園ではベンチなど至る所で西成の民たちが集まってワイワイ喋っていた。

公園の賑やかな景色もどうせなら写真に収めたかったのだが、結構怖そうな人が多くてうかつに刺激するのはよくないと感じて断念した。

三角公園にはフリーライブができそうなステージがあったり(ラッパーが毎年ライブしたりしてるらしい)、16:00〜22:00の間だけ放送される公共のテレビが置いてあったりと様々なものがあった。

入口付近にはやたらと分別されたゴミ箱が置いてあったが、そこにはまだ全然着れそうな服とかが置いていてびっくりした。

 

 

 

しばらく三角公園でゆっくりしたのちに空腹を満たすべく、我々は近くにあるやたらオシャレなカレー屋さん『薬味堂』へとお邪魔した。

 

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このお店のカレーはホルモンカレー(600yen)か野菜カレー(600yen)、あるいは2つをあいがけしたカレー(700yen)の3種類でクオリティの割に非常に安い。かなりスパイシーで辛かったが、とろけるようなルーとご飯のハーモニーは絶品であった。辛いものが苦手な方はある程度甘口にもできるみたいなので是非。

カレーを食しつつ、西成が地元だという店主から様々なエピソードを聞かせていただいた。元犯罪者と死んだ人のエピソードが沢山出てきたあたり、この街では死や犯罪が身近にある街なのだと感じた。

店にはいい感じの音楽が流れ、意識が高そうな本が本棚に並んでいる。知る人ぞ知る……というレベルではなくこの辺りではかなり有名なカレー屋さんのようだ。

 

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カレーを食べると続けざまに食後のデザートとして、萩ノ茶屋駅前すぐのレトロな甘味処であんみつを頂いた。

ひんやりしていて、お餅が沢山入っていてあんこの味が濃くてかなり美味であった。値段は380yen。まあ妥当であろう。内装はかなりレトロでお婆ちゃんが一人で切り盛りしていた。

 

 

 

 

ワンカップ大関、カレーにあんみつとしこたま腹をふくらませた後は腹ごなしに天王寺動物園へと赴いた。

 

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天王寺動物園は小学校時代に遠足で行ったきりで、久々の来園であった。

入園口前のトイレで用を足そうとすると、普通に茶髪のカツラに緑のスカートを履いて女装したおっさんが男子トイレにいたりしてこの街特有のディープさを感じずにはいられなかった。

 

ともあれ中に入り展示を回ると、余りにもの広さに圧倒される。

こんな広かったのか、天王寺動物園……!?

 

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↑あなたはツチノコっていると思う…?♡

 

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↑大量のフラミンゴ

 

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↑完全にオフのニホンオオカミ

 

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ホッキョクグマが暑さで死にそうな顔をしている

 

 

割と急ぎ足ながら諸々回っていると普通に2時間くらいかかった。恐ろしや天王寺動物園。あまりにも蒸し暑すぎて、途中でめちゃくちゃ制汗シートを使って皮膚が馬鹿みたいにヒリヒリになってしまった。

世間ではコロナが流行っていて少ない方とはいえ、やはり連休だったのでそれなりに動物園内に人は沢山いた。同時に、園内には動物が居なくて閉まってる展示も多く動物園の苦闘を感じさせられた。

 

 

 

天王寺動物園を回ると夕方になってきたので、動物園前近くのホルモン屋さんで1杯やることにした。

 

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↑炎天下を散々歩き回ったあとのホルモンと生中……言葉にならない『最高』がそこにある。

 

暑い夏の夕暮れ時に、ホルモン、ハラミ、ニンニクや豚キムチなどをつまみながら飲む生ビールのうまさたるや。クタクタになっていた身体がどんどん回復していくのを感じた。

 

連休最高!西成最高!

 

程よく大阪のアウトロー地帯を回った疲れが回ってきたところでお開きになった。

 

 

大阪の日本橋〜難波界隈は中学生くらいの頃から何度となく彷徨いてきたが、その近くにある西成のディープスポットについては今回がほぼ初体験と言っても過言ではない。

 

また次に関西に帰ってきた時にもう少し様々な場所が掘り下げられればと思う。

なにせこの場所は『深すぎる』ので…………。